シネマ・ジャンプストリート

劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

2018年マイベスト映画発表!!その②(完全版)

遅くなりましたが...
2018年のマイベスト映画、10位から1位を発表します!!



その前に、前回発表した30位から11位を。
30位 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
29位 『15時17分、パリ行き』
28位 『ゲティ家の身代金』
27位 『ペンタゴン・ペイバーズ』
26位 『カメラを止めるな!』
25位 『アベンジャーズ /インフィニティ・ウォー』
24位 『フロリダ・プロジェクト』
23位 『アリー/スター誕生』
22位 『クレイジー・リッチ!』
21位『レディ・バード』
20位『犬猿』
19位 『ブラック・パンサー』
18位 『ボヘミアン・ラプソディ』
17位 『SUNNY 強い気持ち・強い愛』
16位 『シェイプ・オブ・ウォーター』
15位 『ウインド・リバー』
14位 『リメンバー・ミー』
13位 『万引き家族』
12位 『ラブレス』
11位 『スリー・ビルボード』


それでは、本題...

10位から1位!!

10位 『パディントン2』
ウェスアンダーソンっぽさ全開のドタバタ劇
これぞ、パーフェクトなファミリームービー。
根底には社会派な面があったりするんだけど...程よい間抜けさ、welldoneな物語、洒落た美術のバランスがエンターテイメントとして抜群で、滅茶苦茶面白かった~

9位 『君の名前で僕を呼んで』
いわゆるLGBT物の新境地にして枠に収まらない傑作!
男女間で成り立つんだから、同性でも良くない?
男同士の禁断の恋愛なんだけど、そこから感じる印象は普遍的な恋愛の美しさであったり、儚さであったり。
地中海の舞台立てを中心にしたカメラワーク含めて、とにかく美しすぎる。

8位 『ビューティフル・デイ』
陰謀に巻き込まれる主人公ジョーの人物造形を、観るものの想像力にのみ委ねる、そんなフラッシュバックと抽象表現が凄すぎる。
ジョーの心理を正真正銘に類似体験させられる、素晴らしいハードボイルド作!
ラストも大好物で痺れた...

7位 『オンリー・ザ・ブレイブ』
山火事消火のプロフェッショナルの衝撃の実話。
屈強な男達の生き様と、家族の物語。
プロフェッショナルな技術で自分達の居場所を作っていく胸熱映画である一方で、本当に大切な存在を問い、観た後は家族を何度も抱きしめたくなる。
「例の事故」の後の集会、彼の想いたるや...涙が止まらない。


6位 『孤狼の血』
「警察じゃけぇ、何をしてもええんじゃ!!」
東映実録の復活を印象づける、白石和彌監督の前のめりなパワー漲る改作。
役所広司演じる大上の横暴さ。そこに眠る理屈が、見る見られるの入れ替わりという純映画的な手法で明らかになった時、サブイボが止まらんかった!
役所広司の顔力は言わずもがな、松坂桃李の眼の奥の只ならぬ感じも映画向き!

5位 『search/サーチ』
モニターから出ないサスペンス!?
飛び道具的なPOVでは決してなく、現代のコミュニケーションがモニターの中でやり切れる事を利用し、完璧に映画のストーリーテリングに落とし込んだ、新たな映画技法の「発明」!?
情報を幾らでも入れられるモニター内への伏線のバラマキも絶妙で、ぐうの音も出ない!

4位 『ワンダー 君は太陽』
やっぱり映画は演出だなと!
違いと個性、家族の大切さ...正論を真正面から見せる映画は、時には感情を冷ませてしまう。
でもこの映画は違う。
オギーを取り巻く家族や友達、一人一人の想い、違い、すれ違い。
これら一つ一つを丁寧に汲み取って行く事で、全員で辿り着く景色に大号泣しちゃいました。

3位 『僕の名前はズッキーニ』
号泣オブザイヤー。
親に捨てられた子供と、親を捨てたい子供...
施設で暮らす悲痛な現実を背負った子供の世界を、彼らの目線を通してのみ語っていく。
人形劇、クレイアニメ独特の無機質さが、現実世界の無機質さを表現しつつも、そこに愛が包まれ温度を帯びていく展開に号泣。
「ぼくは一人じゃなかった。」

2位 『ROMA/ローマ』
アルフォンソ・キュアロン監督、集大成の奇跡の作品。
彼自身の幼少期の苦く暖かい物語を、従来からの作家性と、撮影監督ルベツキの元で養った表現技法で、モノクロの世界に表現。
モノクロだからこそ親和性抜群な過去を見つめる視点、彩りさえ感じる鮮明なフィルム撮影、長回しと平行移動のカメラワーク、極め付けはROMA=放浪者=家政婦へのメッセージ、どれをとっても美し過ぎる。

1位 『ちはやふる -結び-』
2018年のマイベストはこの映画。
多くの傑作があった今年の中でも、この映画が自分の中では頭一つ抜けています!!

百人一首=瞬間を永遠に閉じ込めた物を使い、
青春=瞬間を永遠に輝かせるテーマを語り、
映画=瞬間を永遠に残すメディアで語られ、
自分にとっても永遠に残る映画になりました。

如何に三部作として完璧な伏線回収をしてるか、如何に奇跡的なキャストのアンサンブルか、如何に細かな演出がキャラクター全員を生きた物にしているか、如何に静と動の音の使い方が素晴らしいか...
青春とは?いや、人生で今を事の意味とは?そんな次元で心に突き刺さりました。


以上!2018年のベスト30でした!!

2019年もどんな映画に出会えるか、楽しみがつきません。






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  1. 2019/01/17(木) 16:08:16|
  2. 2018年公開映画
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2018年マイベスト映画発表!!その①(30位~11位)

明けまして、おめでとうございます!

非常に個人的な話では申し訳ないですが、
昨年は大切な人との別れと新たな出会いが多く、立ち止まって色々と考えさせられた一方で、自分のいるステージが変わってきたなと感じた一年でした。

今年は自分の中で大きなイベントがあり、大きく変わる一年になると思いますが、一つ一つ楽しむ事を忘れずに進めたらなと思っています!

さな、本題!!
2018年マイベスト映画を発表します。


鑑賞数
2018年に日本でお目見えとなった映画のうち、鑑賞本数は86本
うち67本が洋画、19本が邦画と、例年に比べ邦画が少なめ。


それではランキング!!
(順番つけるとかよくないよ!!!)



30位~21位(名前は上げておきたい!)

30位 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
ベストアクション!!トムクルーズ半端ねえ。

29位 『15時17分、パリ行き』
無関係な瞬間の繋がりが...御爺の死生観!

28位 『ゲティ家の身代金』
金持ちに、なるべからず!!

27位 『ペンタゴン・ペイバーズ』
超絶エンターテイメントな社会派ドラマ!

26位 『カメラを止めるな!』
クリエイターマインド全開なラストのドライブ感!!

25位 『アベンジャーズ /インフィニティ・ウォー』
お祭り映画として、立てるべき所が立ってて文句ナシ!

24位 『フロリダ・プロジェクト』
絵的センスと、背景で語るストーリーテリングに脱帽!

23位 『アリー/スター誕生』
愛と自己犠牲、夢と喪失の物語。主演二人の熱演の共鳴!

22位 『クレイジー・リッチ!』
アジアの今を凝縮しながら、極めて普遍的なテーマを切り取る。

21位『レディ・バード』
映画史上最も等身大なティーンエイジャーの女の子を描いた映画!


20位~11位(本心はベスト10に入れたい!)

20. 『犬猿』
双子の絶妙な距離感、同じく双子な自分にとっては最後の俺の映画!

19位 『ブラック・パンサー』
魅力的な対立構造と超絶テクノロジーが、部族描写と融合した最高の映画体験!

18位 『ボヘミアン・ラプソディ』
一点に向けて加速し、劇映画としてパワーに満ち満ちた作品!

17位 『SUNNY 強い気持ち・強い愛』
時代の勢いと危うさを内包したリメイク元とは違った魅力、そして多幸感と苦さのアンサンブル!

16位 『シェイプ・オブ・ウォーター』
型にはまらない究極の愛、それは余りに美しく寓話的..

15位 『ウインド・リバー』
雪山に根付く現代の闇と切り離せない悲惨な事件、二人のホワイトカラーを絡めた無駄の無いタイトなストーリーデリング!

14位 『リメンバー・ミー』
「本当にそうかもしれない」そう思わせてくれる説得力半端ない世界観に大感謝!

13位 『万引き家族』
家族の形をさらに突き詰めて結果、家族に対する窓口が広がる、そんな世界の是枝監督の集大成的作品。

12位 『ラブレス』
利己的が行き過ぎた結果、こんなにも理不尽で救いようの無い顛末があって良い物だろうか...辛い...

11位 『スリー・ビルボード』
人の不完全さが取り返しのつかない悲劇を生めば、悔い学び這い上がらせるのも人の性だったりする...途轍もなく濃密!


ベスト10は改めて発表します!!





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  1. 2019/01/02(水) 23:11:42|
  2. 2018年公開映画
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65『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』ダンブルドア降臨!

ファンタビ シリーズ第二弾!

本題の物語がついに本格化...

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』



~あらすじ~
ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、学者として魔法動物を守るため、不思議な空間が広がるトランクを手に世界中を旅している。ある日、捕まっていた“黒い魔法使い”グリンデルバルド(ジョニー・デップ)が逃亡する。ニュートは、人間界を転覆させようと画策するグリンデルバルドを追い、魔法動物たちと一緒にパリの魔法界へ向かう。
(シネマトゥデイ引用)








⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐️⭐️★(65/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○まずは作品について

空前のヒットを記録した、J.K.ローリングによる児童ファンタジー小説であり、その映画化作品群のハリーポッターシリーズ。

著者のJ.K.ローリングが自ら脚本を執筆し、その世界観の前日譚として2年前に公開されたのが、デヴィッド・イエーツ監督による『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』。

ハリーポッターシリーズの後半で色濃くなったシリアス一辺倒のシリーズ像を、「魔法動物」を前面に押し出し、ニュート・スキャマンダーという社会性は低いが身の丈の優しさを持つ動物学者を主人公にすることで、一気に夢のあるファンタジーの世界観に回帰。
脚本上の難点はあれど、一作目はフレッシュなビジュアルと、キャラクターや世界観の楽しさに満ちた作品になっていました。

続編となる今作も、『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』以降の全作品同様に、デヴィッド・イエーツ監督がメガホンを取ります。
また、キャストもニュードを演じるオスカー俳優のエディ・レッドメインをはじめ、キャサリン・ウォーターストンやアリソン・スドル、ダン・フォグラー、エズラ・ミラーが出演。
更に、本格的に行動を始めるグリンデルバルドをジョニーデップが、あのダンブルドアの若かりし頃をジュード・ロウが演じます!!




○ここから感想(ネタバレなし)

驚愕の全5部作構想の2作目。

「ハリポタ」シリーズの前日譚的なシリーズという事で、作品を重ねるごとに「ハリポタ」一作目の賢者の石の時系列に近づいていく中で、前作ではチラ見せであった、前日譚ならではの旨味、ハリポタに繋がる文脈が多く楽しませてくれます。

特に本作で注目すべきは、やはりあのダンブルドアが登場するという点です。

これまでハリポタシリーズの中で、若かりしダンブルドアの過ちが幾度か語られてきました。
中でも特に重要なのが、グリンデルワルドとの交友関係とそれによる妹の喪失です。

本作はその「過ち」とハリポタ一作目の間に位置する時間軸という事で、その「過ち」が直接の物語になるのではなく、最重要な背景としてのみ利用されます。

若かりしダンブルドアとグリンデルワルド。
決して同一カットで交わらないカットを超えた繋がりから、彼ら二人の一挙手一投足に対してワクワクさせ、物語に深みを与えてくれるんです。



また、前作では暗躍であったグリンデルバルドの活動の本格化に伴い、本作は一気にトーンが深刻化しています。
不死鳥の騎士団以降に感じていた、デヴィッド・イェーツ監督の色がより濃くなっているな~と感じます。


そんな中でもファンタビ的魅力、つまりは魔法動物によるフレッシュな映像はしっかり描かれています。

前作同様にニフラーは可愛いし、初登場となる巨大化け猫!?ズーウーのアクションはめちゃくちゃ上がりました。


また、ファンタビシリーズとして今作を経て非常に印象的になってきたのが、超保守的で排他的な魔法省vs締め出された側のナチズム グリンデルバルトの構図です。

そんな中でのニュートの立ち位置だけが独特で、彼は悪い意味では空気を読まない、良い意味で偏見を持ちません。

善悪なき戦いの中にニュート(ニュートラルな存在)がいる事で、戦いの構図が面白いのは勿論、「偏見に満ちた善悪が曖昧な中で如何に正義を見つけるか」という、途轍もなく現代的なテーマに落とし込まれています。




一方で、本作を一本の映画と見たときに、私個人としては非常に消化不良に感じてしまいました。

今作は登場人物を複雑にし、相関図を広げた上で整理するって所にストーリーが終始しています。

キャラクターを増やし相関図の掘り下げに焦点を当てる事は、よく言えば世界観を広げていきます。
しかし悪くて言えば一人一人キャラクターの魅力や肝心な物語をボヤけさせる結果になっています。

一作目で際立っていたニュートの唯一無二な魅力、リタ・ストレンジの葛藤と強さなど、キャラクターの魅力も埋もれています。
クイニーの取った行動も、背景の描かれ方が余りに薄く、全くもって行動原理に理解が出来ません。

また、単体では魅力的なファンタビ的見せ場もクライマックス戦も、ストーリーに直接関係ない見せ場の為の見せ場にしか機能していないのは残念です。

編集の雑さも見逃せず、あまりに不自然なシーンの遷移が2度ほどありました。
そこ飛ばして話を進められるなら、もはや何でもありじゃね??


ちょっと言いすぎたかな...

次作観て、今作の価値を納得して土下座している事を期待してます!!






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  1. 2018/12/05(水) 23:41:37|
  2. 2018年公開映画
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85『ボヘミアン・ラプソディ』積極的脚色でパワーを最大化

QUEENのボーカル フレディ・マーキュリーの伝記映画?

最高の劇映画で、音楽映画!!

『ボヘミアン・ラプソディ』



~あらすじ~
1970年のロンドン。ルックスや複雑な出自に劣等感を抱くフレディ・マーキュリー(ラミ・マレック)は、ボーカルが脱退したというブライアン・メイ(グウィリム・リー)とロジャー・テイラー(ベン・ハーディ)のバンドに自分を売り込む。類いまれな歌声に心を奪われた二人は彼をバンドに迎え、さらにジョン・ディーコン(ジョー・マッゼロ)も加わってクイーンとして活動する。やがて「キラー・クイーン」のヒットによってスターダムにのし上がるが、フレディはスキャンダル報道やメンバーとの衝突に苦しむ。
(シネマトゥデイ引用)





⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐️⭐️★(85/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○まずは作品について

70~80年代にかけて、全世界で一時代を築いたQueenのメインボーカル フレディ・マーキュリーの伝記映画。

「伝説のチャンピオン」や「We Will Rock You」など、誰もが耳にした事があるイギリスを代表するアーティストであるQueen。
私は世代ではないのですが、そんな私でもいつのまにか脳内に刻み込まれている...世代を超えて伝わっていく数々の名曲を残しています。

本作は、Queenのまぎれもない中心であったフレディ・マーキュリーの物語。

あらゆるジャンルからインスピレーションを得て、ジャンル分けが困難な音楽を産み出す天才的な音楽センスを持つと同時に、脳天に突き刺さる神の声を持ち、それでいて稀代のパフォーマーでもある...
同性愛者である事でも知られる彼は、当時拡大の一途をたどっていたHIVで45歳の若さで命を落とす訳ですが、本作はそんな彼が決して恵まれない環境から成り上がり、自らのアイデンティティと向き合い、85年のチャリティライブ ライブエイドで伝説を残すまでを描きます。

そんな映画の監督を務めるのは、『X-MEN』シリーズや、『ユージャル・サスペクツ』のブライアン・シンガー。
と、思いきや...
実は撮影の大半が終わったタイミングで揉めて降板しており、それ以降は『イーグル・ジャンプ』のデクスター・フレッチャーに交代。
そんのゴタゴタに、作品が散らかってないだろうか...と一抹の不安。

注目のフレディ・マーキュリーを演じるのが『ショート・ターム』などに出演するラミ・マレック。
映画での主演歴はなく、大抜擢ですね。
またQueenの他のメンバー、ロジャー役をベン・ハーディ、ブライアン役をグウィリム・リー、ジョン・ディーコン役をジョゼフ・マゼロが演じ、フレディの元妻役を『シング・ストリート』のルーシー・ボイントンが演じます。




○ここから感想(ネタバレなし)

フレディ・マーキュリーの生涯を描くという事で、さあ一体全体どうするんだと。

45年を描く為に、45年の時間を見せる訳にいかない訳で、伝記映画である以上、取捨選択し再構築しながら、人物の本質や決定的な史実は外さない編集が必要になってきます。

本質を浮かび上がらせる為の、史実の誇張や改変は、全くの嘘がない限りはやむ終えない、寧ろ必要と思っています。

一方で、素晴らしい伝記映画というのは、史実をしっかり描きながらも、「演出」という武器で本質を浮かび上がらせてる映画なんでしょう。

じゃあこの映画は、どうなのかと言うと...

フレディ・マーキュリーの本質を描ききれてるかと聞かれると、「描ききれてはいない」と答えます。
本作ではフレディ・マーキュリーという人物を「アイデンティティと愛に悩む人物」に極端に単純化しています。
そういう一面が本質の一つであったのは間違いが、それだけがフレディ・マーキュリーの本質ではないでしょう。

また、史実に全く違う印象を与えてないかと聞かれると「与えている」と答えます。
フレディ・マーキュリーの人物像を活かして物語を劇的にする為に、Queen内の問題の一本化したり、史実の順番を大きく入れ替えています。

つまり「史実を映しながら本質を浮かび上がらせる伝記映画」というよりも「強調したい要素だけを予め抜き取って、その為に物語を積極的にいじってドラマチックにした劇映画」により重みが置かれている。


だからといって、ダメなのかと言われると、全くもってそんな事はありません。
というより...
めちゃくちゃ面白い!!

劇映画として見ると、フレディの人物造形の単純化や史実の改変は、クライマックスに向けた全く無駄のないストレートなストーリーデリングに寄与しています。

そして、そこに重なるのは、散りばめられた圧倒的なQueenの音楽。

やっぱり、「音楽が出来上がっていく過程の映像」は最高最高。

極め付けは、言わずもがなラストのライブエイドのパフォーマンス。

圧倒的なライブクオリティと、史実とは違えどその一点に向けて加速された物語が重なり、もう涙が止まらない訳ですよ。

正直、映画単体で見てると、面白さと人物や物語の改変が一直線上にあって、この映画のこの手法は大成功と思っています。



また、主演ラミ・マレックの、フレディの魂が乗り移った熱演にも圧倒されました。
フレディ・マーキュリーが持っていたパフォーマーとしての魅力が再現できているのは、彼の功績無くして語れません。

他のメンバーも似すぎ...



伝記映画としてうたってる以上、その役割を考えると???だけど,.
そんなものを凌駕して劇映画としてパワーに満ち満ちた驚愕の作品になってます。

おススメです!!





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  1. 2018/12/02(日) 17:38:22|
  2. 2018年公開映画
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75『ヴェノム』化け物共生の旨味最大!

悪役?ダークヒーロー?

『ヴェノム』



~あらすじ~
ジャーナリストのエディ・ブロック(トム・ハーディ)は、ライフ財団が人体実験を行っており、死者が出ているといううわさを聞きつける。正義感にかられ、真相を突き止めようと調査を始めた彼は被験者と接触したために、地球外生命体のシンビオートに寄生される。
(シネマトゥデイ引用)







⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐️★(75/100)



○まずは作品について

マーベル・コミックスの大人気キャラクター スパイダーマンに登場する悪役ヴェノムの初単独映画化!

ヴェノムが初めてスクリーンに登場したのは、スパイダーマンの第1期映像化作品であるサム・ライミ版の『スパイダーマン3』でした。
この作品で、それ程インパクトを残せず、日本では馴染みの薄いキャラクターになっていましたが...誕生の由来と彼の能力から、「第二スパイダーマン」と呼ばれ、原作ファンからは根強い人気のあるキャラクターです。
(因みに、本作では原作と異なりヴェノムの誕生にスパイダーマンは一切関係してません。)

マーベルキャラクターの映画という事で、勿論MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の作品群の一つだろうと考えてしまいますが、本作はそうではありません。
つまり、アイアンマンなどのアベンジャーズが抱える世界観とは、基本的には別の作品です。

というのには...大人な事情が。
元々マーベル・コミックスから『スパイダーマン』シリーズの映画化権をソニーが単独買収。
その後サム・ライミ版の『スパイダーマン』、マーク・ウェブ版の『アメージング・スパイダーマン』を製作するもソニーが続編を断念。
マーベル・コミックスがMCUとして進めていた『アベンジャーズ』に合流する形で、マーベルとソニー異例の合同製作で実現したのが直近の『スパイダーマン ホームカミング』でした。
対して、本作のヴェノムの完全にソニー単独の作品。
ソニー側は合流も見据えているみたいですが、今の所は全くの別世界という事です。

そんな作品の監督を務めるのほ『L.A. ギャング ストーリー』や『ゾンビ・ランド』のルーベン・フライシャー。
主人公のエディ・ブロックを演じるのは、今最も脂の乗った名俳優トム・ハーディ。
あのトム・ハーディがヴェノムを演じるというだけで、もう観る価値あり!
更に、ミシェル・ウィリアムズやリズ・アーメッドなど、間違いない面々が脇を固めます。




○ここから感想(ネタバレなし)

地球外生命体であるシンビオート。
地球上で彼らが生きるには人間に寄生することが必要で、完全に人間を支配するのではなく共生するところに、今作の見所が多く詰まっています。

ジャーナリストである今作の主人公エディ・ブロックも、案の定シンビオートに寄生されます。

一匹と一人の奇妙な共生、その様子は巷で言われてるように 『ど根性カエル』のピョン吉であり、『寄生獣』のミギーであり、化け物による寄生のあらゆる旨味が画面いっぱいに広がります。

寄生された直後の舐めてた俺が実は超人な事への戸惑い、
日常生活の中での暴走する謎の欲求への戸惑い、
制御不能ボディ&超人的カーアクションへの戸惑い、
最終的には「内側からの声」を使ったネタバラシまでの一連が、トム・ハーディ芸達者っぷり含めて最高of最高。

一連の流れの中であらゆる旨味を魅せてくれた後も、ストーリーは一直線。
最短経路でストーリーを展開しながら、寄生×バディムービーしての旨味をこそ魅せる潔さ、このエンターテイメント映画として割り切った構成は大好きです。

エディ側が受け入れて変身するシーンはどれもこれも上がるのですが、一発目の「仮面をかぶる」展開が大好物でした。


また体内からぬるっと出てくるヴェノムと、世の中にうんざりしているエディの駆け足いも最高です。
「ヴェノム可愛い!?」
いやいやいやなんて思っていたのですが...
ヘタレなエディを奮い立たせるヴェノムと、暴走するヴェノムをなだめるエディ。
グロテスクな見た目からは予想外の「ヴェノム可愛い」という感想が出るのも大納得です。







一方で、今作の直線的構造に旨味を込める構造ゆえの粗に、無視できない部分も多くあります。

真っ先に思うのが、r指定を回避する為に「血」を全く見せない事によると影響です。
「誰が死んだか」を曖昧にする事で、シンビオートの本来の残虐性を曖昧にするという欠点に加え、エディとヴェノムが犯す罪についても曖昧にしています。
つまり「あそこで、人は死んじゃったのかな...まあ、分からないからいっか」という感じで、見て見ぬフリで物語を進めてしまっている訳です。

そして、最も不満が残ったのが、シンビオートの中でも何故ヴェノムが異質でヴェノムたるのかの描写の少なさです。

そこにはシンビオートの中での立場と、宿主の思考を吸収する性質があり、その上でエディ・ブロックという似た者と出会いがあっての「ヴェノム」な訳で。

そんな映像描写がなく、途中シンビオートの残虐性も曖昧だから、「元から良い奴...だったのかなー」ぐらいで終わっちゃってるのが勿体ない!



唯し!!
そんな弱点を見て見ぬ振りさせ得るのが、エディを演じるトム・ハーディと、キーパーソンとなる人物を演じるリズ・アーメッドの二人の演技です。
彼らが佇むだけで背景を考えさせるような...存在感、芸達者っぷりは見事でした!



エンドロール後の彼はあの「第三のスパイダーマン」なんだろうか?

そう考えると、続編楽しみ!
ゆくゆくはアベンジャーズのスパイダーマンとの合流も期待せずには入られません。

勿論、来年に控えるアニメ『スパイダーバース』も楽しみです!







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  1. 2018/11/20(火) 22:26:14|
  2. 2018年公開映画
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