シネマ・ジャンプストリート

劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

50『進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド』この世界は実は...

またまた初めてー?

大人気漫画の実写映画続編。
『進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド』



~あらすじ~
巨人によって壊された外壁を修復する為に、人類が立ち上がった前作。大ピンチの調査兵団を助けたのは、突如巨人化したエレン(三浦春馬)だった。
クバル(國村隼)率いる兵隊に政府軍に拘束され、処刑される寸前に、謎の巨人が乱入しエレンを拉致する。
一方、ミカサとアルミン含む外壁修復作業員の生き残りは絶望的な状況の中でも、巨人に壊された外壁修復を続行しようと試みるも...








☆☆☆☆☆(50/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

大人気漫画「進撃の巨人」の実写映画続編。
前作、「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」では、讃美両論分かれる世論の中、自分はというと比較的好印象を持っている。
まず何より、ビジュアル表現による現実への説得力は、日本映画では見た事ないレベルで真に迫る物になっている。
人間のルックをした大量の巨人に襲われる事で突きつけてくる、人間の命のちっぽけさや、この世の理不尽さを、恐怖というより笑えちゃうレベルで体験出来たのだから、ただただありがとう!!
もちろん、上げたせばキリがない程の不満はあるのだけれど、どんだけ世間の評価が低かろうと、こんな映画を嫌いなれる訳がない...
今作も前作以上に評価は低い。しかし、そんなの関係ない!!「どう感じるかは人それぞれで、見てみないと分からないのだから。」by 石原さとみ

二部作の後編となった今作は一作目の簡単な復習映像後に、エレンの拷問シーンから始まる。イケメン俳優かどうかに関わらず、ファンが失神しそうなショッキング映像を、しっかりと見せてくれるのは前作に引き続き素晴らしいじゃないか。
全編にわたって、前作に比べてえげつない描写は落ち着いた印象はあるが、ゾンビ型の巨人の身がはじけとぶシーンや人間のはち切れ描写はあいも変わらず、逃げずに描いている。

前作では、生々しい巨人が複数登場し、凶々しい映像を作り込んでいた一種のゾンビ映画であった。それに対して、今作はウルトラマン映画と言って良いかもしれない。
ゾンビ型巨人に打って変わって、今回主演男優を演じるのは、人格を持つ巨人。前作で終盤にエレンが変身した、あの内部が光るかっこいいヤツ!!
「人間が巨大化し、本来の自らの身を削りながらも、人類を救う為に戦う。」うん、ウルトラマン。

戦う相手という意味でも、かなりニュアンスが変わっている。国を守る為、巨人を滅亡する為に組織された調査兵団や外壁修復作業員。勇敢で能力の高い者から死に絶えていく。
その対巨人をダイレクトに描いたのが前作の後半であったが、今作の相手は巨人だけで収束しない。シキシマが告げる「真実」には、現実味が漂い、本当の意味で恐怖を感じる。
そして平和とは、自由とは一体....この映画からは三者三様の答えが投げ出されている。

個人的に今作で最大に上がったポイントは二つ。一つは、エレンが巨人になる理由を映像で体現した所。更に細かく言うと、エレンが二回目に巨人になるまでのシーケンス。
強い力を振りかざして自由を奪いにいくのではなく、何かを守る為に必然的に強さを発揮する。

もう一つは、巨人になる方法。ここは映画オリジナル。「心臓を捧げるっていうのは~」からの流れは心底ぶっ飛んだ。サイコー


褒め切った所で、そろそろ...
一言で書くと、「カッコ良くやる為に100ダサい所を作っちゃった。」そんな印象。
細かく書くとキリがないのだけど、人が一言発するたびに、とにかくダサい...
クバルや、ハンジ、シキシマのようなアニメ的な大仰さなら、リアリティラインが統一できていれば、まだ百歩譲って許せるかもしれない。
しかし、エレンのそれはぎゃぁぎゃぁ、わーわー喚いてるだけで、ただただ邪魔....主人公がこんなんだから、作品に入っていける筈がない。

他にも何でそんな事ワザワザやっちゃうの...って事が多々。
サシャとミカサのそのシーンいる?とか、何故視界に入ってないの?とか、その間敵はどこに?待ってくれてるの?とか、そいつにとって死ぬ程覚悟を背負う場面か?とか。
それにフラッシュバックとか...折角膝蹴りで上がるシーンも、ワザワザ説明しちゃうから台無し。

終始こんな感じで、鑑賞中はとにかく「うわぁ」って感じるシーンが多い。確かに、上がるシーンもあるし、内容的に唸らされる展開もあるんだけど、前作では散りばめられていた見せ場が、今作では一点になったせいもあり、余計「うわぁ」と感じてしまう。
前作の方がエンドオブワールド感があったのは間違いない。
正直、一作にまとめて見せ場を詰め込んでシーンシーンをスリムにしたら、結構良い映画になるように思う。


しかしながら、日本映画でここまで責めてる映画は中々存在しないのは、誰の目にも明らか。
見て損は決してない。是非劇場へ!




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  1. 2015/09/30(水) 21:39:41|
  2. 2015年公開映画
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70 『アントマン』 等身大ヒーロー誕生

アベンジャーズは忙しいからさぁ!

サイズは極小、アクションはアベンジャーズ級
『アントマン』



~あらすじ~
刑務所帰りのスコット・ラング(ポール・ラッド)。電子工学の修士号を持つなど能力はあるのに、空回りばかり。別居中の娘とは面会禁止となり、養育費を払う為にやっとの思いで手にしたサーティワン・アイスクリームの仕事も、前科がばれてクビになる。犯罪仲間の誘いに乗り、再び窃盗に手を出す事に。
そんな彼の様子を見ていたのが、元S.H.I.E.L.Dの研究者でピム粒子開発者のハンク・ピム(マイケル・ダグラス)。原子間の距離を縮めるピム粒子の悪用を察知した彼は、自身の過去と重なるスコットの素質を見抜き、ある仕事をオファーする。それは、身長1.5cmになれるスーツを着用し、世界を救う「アントマン」になることだった。スコットは最愛の娘のために、猛特訓を開始する...











☆☆☆☆☆☆☆(70/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)
絶好調爆進中のマーベルユニバース。
直近のヒーロー大円団『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』でも世界中でメガヒットを記録。
アメコミヒーロー物を、現代社会にアッブグレードしながらも、適材適所の監督の起用によってアメコミのアメコミらしさたる所以をしっかり残すという、バカっぽくなり過ぎない独自の成功モデルを完全に確立したマーベル。そんな大円団に新たに加わるのが、極小1.5cmの等身大ヒーロー、アントマン!!

もう、マーベルの作品なんだから外れな訳がない。歴史上類を見ない大作のクロスオーバーに挑戦しながらも、そんな安心感さえ与えてくれる彼らのビジョンには、もう脱帽脱帽脱帽。

実はこの作品、10年以上も前から「ホット・ファズ」等のパロディーコメディの名手エドガー・ライトが構想を練っていたそうだが、意見の対立により断念。そんな中で監督を引き継いだのは、「イエスマン」などのライトコメディの使い手ペイトン・リード。
アクション映画等とった事がない彼が抜擢されたのは、今の技術があればアクションは誰が撮ってもある程度の物が作れるというマーベル側の自信から。初期の頃から、それこそアイアンマンから、作品の色付けのみに専念して監督をチョイスしている事が、成功の秘訣なのかもしれない...
そんなペイトン・リードが撮った作品なんだから、今作はもちろんライトで、等身大で、誰もが気軽に楽しめるヒーロー映画になっている。



主人公のスコットは、(一般人にしては)能力はあるのに、行動原理が人並みで煩悩に満ちている。仕事も家庭も失い、まさに絶体絶命、崖っぷち。家族が大切だか、強い心は持たない。止めときゃいいのに、娘の養育費の為にふらふらーっとまた犯罪の世界に戻る。

そんなふつーの男が、世界を救う。世界の為にとか、そんな大それた事は決して考えない。全ては家族の信頼を取り戻す為。娘に良い所を見せる為。それだけ。
彼が手にするのは、小さくなれるスーツ。体が大きい時とトータルパワーは同じ為、小さな体に凝縮されたパワーは驚異的だが、スーツがなければただの人。
身体は小さく、中身は等身大。このマッチングが最後まで心地よい。

そしてストーリー自体も、実に等身大の、皆が知っているヒーロー映画。「キャプテンアメリカ ウィンター・ソルジャー」のようなひねった事はしない。あちらはあちらで傑作なのだが、どこにでもいそうな人間が、人間らしい理由で、分かりやすい敵を倒す。ヒーロー映画たるもの、それで充分じゃないか!


一方で、アクション自体はかなりフレッシュ。このギャップも面白い。小さい時は当然早く走れない為、アントマンは大きくなったり、小さくなったりしながら臨機応変に戦う。
更に、アントマンのもう一つの特技、それは電磁波を使って蟻とコミュニケーションを取れる事。蟻を使って空を飛んだり、橋を作ったり、壁を登る描写はこれまたフレッシュ!!

今作のアクションの極め付けは、ラストの子供部屋での戦い。世界の命運が掛かってる決戦が子供部屋で行われるってのが実に等身大でシュール。
そして小さいからといって、決して迫力がないと思うなかれ!ぐぐっとカメラが寄っている時のアクションは、決してアベンジャーズに見劣りしない。チョロ水や周りのおもちゃなんかが、津波やジェット機のごとく遅いかかってくる。カメラが寄った時の蟻の迫力は、ジュラシックワールドのインドミナ・レックスに負けていない。
そんな中で最も存在感を一際放つのが、まさかの機関車トーマス。ここは....見て!!!



スコット以外にも、この映画は魅力的な人物に彩られる。
その中で最も存在感際立つのが、マイケル・ダグラス演じるピム博士。彼はアイアンマンことトニー・スタークの父、ハワード・スターク生存時の元S.H.I.E.L.Dの研究者。更には冷戦時代に影で暗躍した、初代アントマンである。
彼は女性版アントマンとして活動を共にした妻を亡くした事をきっかけに、ピム粒子の危険性を感じるようになり、研究を封印するのだが...妻の死以来、心に影を抱えるピム博士は娘のホープと向き合う事が出来ない。彼女がアントマンになるのを熱望するも拒絶し、彼がアントマン候補として選んだのは、娘に対して自身と同じ過ちを進みつつあるスコットだというのも実に心憎い。

マイケルペーニャ演じる、窃盗団の一員ルイスのキャラクターも素晴らしくいい!特に、話の下手さ...どんどん話が脱線していき、結局何を言いたいのかわからない彼のトーク術は、こんな人いそうだし、映画の中で見る分には最高に魅力的。



風呂敷が広がき過ぎているこのシリーズ。その中で、この映画は単独でも充分楽しめる作りになっているのが実に見事。

ただもちろん!アベンジャーズファンが見てもニヤリとする要素も転がっている。
見ながら誰しもが思う「アベンジャーズに助けて貰えば?」に、ピム博士が言う「彼らは空から街を下ろすのに忙しいから!」にニンマリ。
新生アベンジャーズの一員の、あるキャラクターの登場にニンマリ。
エンドロール後のあるキャラクターの再登場にニンマリ。
そのキャラクターとアイアンマンの因縁を思い返して、ついに次作で対峙するのか...と想像してニンマリ。
ホークアイの弓にアントマンが乗るのかな...と想像してニンマリ。
あれ...
アイアンマンとキャプテンアメリカが超人登録法を巡ってぶつかる『キャプテン・アメリカ シビル・ウォー』が益々楽しみに!!



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  1. 2015/09/24(木) 19:43:46|
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○75 『キングスマン 』 多幸感ハンパねー

Manners.... maketh..... man!!

マシュー・ヴォーン証全開、爽快スパイアクション
『キングスマン』


~あらすじ~
表の顔は高級テーラー「キングスマン」。しかし、裏の顔はスタイリッシュなスーツに身を纏い、世界の平和を守る独立系スパイ組織!
ロンドンに住む若者エグジー(タロン・エガートン)。彼の父は「キングスマン」の元エージェント。しかし、彼がまだ幼い時に任務中に戦死する。父の友人から貰ったペンダントを胸に持ち、母の恋人にこき使われながらぐれた生活を送っていた。
そんな中、現役エージェントのハリー(コリン・ファース)はエグジーに可能性を見出す。何者かに殺されたエージェントの代わりを探していた「キングスマン」の候補生に抜擢する。
しかしその裏でアメリカ人IT富豪のヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)が、前代未聞の人類抹殺計画を進めていた....





☆☆☆☆☆☆☆(75/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

~これが映画!!これがスバイ映画!~
もし、ごく普通の人がヒーローを志しちゃったら...
そんな過激痛烈ヒーロー映画「キックアス」の監督マシュー・ヴォーンが自らの領域に帰ってきた!!
マシュー・ヴォーン自身が大好きだという60~70年代スパイ映画。今回はそんなエッセンスが詰まった楽しいスパイ映画に、マシュー・ヴォーン証の過激で痛快なアクション、ハイセンスでぶっ飛んだ音楽をミックスして、またしてもやらかしてくれた。

冒頭から登場する女戦士ガゼル。
ヴァレンタインの用心棒で足に義足兼ギロチンをつけている。見た目からすでにインパクトの塊だが、登場シーンの衝撃が更に凄い。人助けをしたヒーローを背後から真っ二つに縦割する。
この時点で、「はい、この映画はそういう映画ですよ~」とリアリティラインをぐんと下げる。近年の007のシリアル路線(もちろんそれはそれで最高!!)とは、全く異なるスパイ映画が始まるよ...とにかく楽しめ!!と突きつけてくる。

この映画はロジャー・ムーアの007や、「0011 ナポレオン・ソロ」(私は見た事がないが...)に代表される、60年代、70年代のスパイ映画のような、映画は楽しくなきゃ!!精神に満ち溢れる。
という事はもちろん、スパイ映画らしさの一つでもある、嗜好を凝らしたスバイグッズが、わんさか登場する。
予告編にも登場する「ガンブレラ」はハリーのそしてこの映画のマストアイテム。一時的な記憶を消す「ど忘れウォッチ」や、致死性の毒薬を任意で起動できる「さそりペン」など、そんなバカな...な秘密道具が登場し、ここぞの所で大活躍する。スパイグッズに加え、数々登場する「秘密部屋」。もうこの時点で最高この上ない。

更にもう一つ、破天荒な敵キャラも大味スパイ映画には外せない。ブリティッシュ貴族風の「キングスマン」とは対照的に、サムエル・L・ジャクソン演じる敵キャラのヴァレンタインはこれでもかとばかりにアメリカンなIT成金。善人の彼は慈善活動をいくらしても、地球は良くならないと気がつく。なら...人類いらなくね??
全ては地球の為に!!正義のスパイより余程エコの事を考えている。地球に優しいナイスガイ。
そして、見てる方はしみじみ思う。これが、アベンジャーズの行く末なのね...

~生まれじゃない~
キングスマンとヴァレンタイン。紳士スパイとIT成金。徹底された世界観の上に存在する、正反対な存在の対象っぷりも必見ポイント。
特にキングスマン側のダブルボタンのスーツスタイルと、これぞブリティッシュの高級テーラーの内装が圧巻。そしてその中に腰を据えるのはイギリス的な貴族主義の思考。
そんな世界が強調されればされる程、敵対組織のアメリカン要素、フリーダムな思考と押し付け主義への皮肉も際立つ。アメリカを象徴するかのように、超偏見主義のウェストボロ・パブティスト協会がモデルの協会も登場したり...

そんな中、労働階級でありながらキングスマンになろうとするエグジーだけが異質に写る。決して恵まれている家柄でなければ、学歴でのし上がれる訳でもない。
紳士かどうかは生まれじゃない...
マナーが!紳士を!作るんだ!!

~なんという多幸感...~
この映画には大きな山場が2つ存在する。
一つは、前述のウェストボロ・バブティスト協会をモデルにした協会に、ハリーが乗り込んだ時。待ち受けていたヴァレンタインは「人々を凶暴にする為の超音波装置」を発動。
もちろんハリーは卓越した格闘能力を誇るのだから、信者になんて負けたりしない。しかし...当然の事ながら、ハリーもこの装置の虜になる。この時の光景は地獄絵図そのもの。
しかしそこで流れるレーナード・スキナードのフリーバード。哀愁を込めながらもどんどん開放的になっていく曲が、地獄絵図と相反する。
長回しのやりすぎ暴力描写のはずなのに...なんという多幸感!!!
このまま一生このシーンが続いてくれ...

そして、もう一つの山場、ラスト30分ではこれ以上の至高が待っている。暴力は残酷だし、ありえない度はどんどんインフレする。なのに...上がる。
そうだった...これがマシュー・ヴォーンの映画だ。画面に映し出されているアリエネー暴力描写や無茶苦茶な展開を、事前にいくつもに散りばめられた伏線とセンス抜群の音楽を駆使して、最大限の至福に変える。進むにつれて増幅する興奮。あんた、天才だよ...
この痛快暴力描写は、他の人がすると大惨事。

楽しい。楽しい!
ハリーとヴァレンタインは監督の思いを代弁している。「やっぱりスパイ映画は楽しくないと!!」
しかし、そんな強い思いで成り立ってる映画も、悪役のヴァレンタインの一言が全てを否定する。「これは映画じゃないんだよ!!!」

王道のエンターテイメントでありながら、それすらも利用する。
昔懐かしの楽しさを詰め込みながら、こんなの見たことのない描写の連続。
残酷でありながら、痛快。
このバランスがなんとも不思議で、ついつい見惚れる。

修行シーンが勿体無いな...なんか本筋の展開止まってるな...って感じる所は無くは無い。

それでもこんな理不尽に上がる映画はなかなかない!見ない理由はない!
映画が!紳士を!作るんだ!!



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  1. 2015/09/13(日) 21:32:17|
  2. 2015年公開映画
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○85 『ヴィンセントが教えてくれたこと』久しぶりの号泣

でも...ても...君は素晴らしい!!

愛すべき、ダメ人間映画。
『ヴィンセントが教えてくれたこと』



~あらすじ~
ブルックリンの一軒家に住む不良ジジイのヴィンセント(ビル・マーレイ)。金もないのに競馬場や酒場に行き、借金を作りっては、周囲に悪態をつく嫌われ者。
ある日、母子家庭となったマギー(メリッサ・マッカーシー)と12歳の少年オリバー(ジェイデン・リーベラー)親子が、隣に引っ越してくる。マギーは夫のたび重なる浮気に愛想を尽かし、オリバーを連れて逃げだしたのだった。引っ越し先で、ひとりで息子を養うため懸命に働くが、転校先の学校でオリバーはいじめられて帰ってくる。
大人びたオリバーと偏屈じじいヴィンセント。ふたりの交流が始まり、次第に心が溶かされていく...















☆☆☆☆☆☆☆(85/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

~偏屈くそじじぃ~
制作費1300万ドルの作品が...なんと全米で3倍以上の4400万ドルの興行収入を叩き出し話題になった作品。

偏屈なじじいと引越しをしてきた少年の交流。あらすじを見ると、マイベスト映画のひとつ『グラントリノ』と瓜二つなんだが...
あちらがガチガチの体育会系ドラマなら、こちらはゆるゆるの脱力系コメディ!

この映画の最大の特徴
それは『ゴーストバスターズ』『ブロークン・フラワーズ』などのコメディ俳優ビル・マーレイ演じるヴィンセントのくそじじぃっぷりに尽きる。
本作で長編映画デビューを果たしたメルフィ監督は、当初から主役にはビル・マーレイしか考えていなかったらしい。

序盤、鍵を無くして家に入れないオリバーを、ヴィンセントは給料をもらうという条件で預かるのだが、おかまいなしにギャンブルや酒場に連れまわす。
この破天荒な行動をビル・マーレイは低い温度で演じきる。
人物造形の説得力が凄まじく、この魅力はビル・マーレイしか出せないでしょ!
そしてなんとビル・マーレイ自身も今作を絶賛している。

更に脇を固めるキャラクターも魅力たっぷり。
作品を豊かに。
ヴィンセントのおかかえ売春婦を演じるナオミ・ワッツの堂々とした腹ボテふぁっく怪演っぷりは最高だし、
母マギーを演じるメリッサ・マッカーシーのシングルマザー必死空回り感は重みを与える。
そして何よりオリバーを演じるジェイデン・リーベラ君。子役特有の違和感が全くなく、子役という枠に収めるには失礼すぎる。大人びた演技にやられた...
ディカプリオに憧れているらしいが、風貌も似ているし君ならなれるよ!!!


~補完しあう関係性~
境遇も年齢ま性格も全く違う二人。

両親の離婚で早く大人になってしまったオリバー。彼は自分を強くする父を知らない。
社会との関わりを否定し破天荒に振る舞うヴィンセント。ある事情から、生きる目的を持たない。
出会いは物理的な必要不必要の関係かもしれないが、知らず知らずに精神的な物へと変化する。

監督は言う。
「ひとつのストーリーを持つキャラクターが、別のストーリーを持つキャラクターと衝突してまた別のストーリーが生まれる。あらゆることが、一つの脚本の中に描かれているんだ」
人と人とが出会ってスリリングな事が生まれる。これが「物語」の本質と思う。



~どんな人間でも...~
物語が中盤に差し掛かると、判明するヴィンセントのある一面。それが終盤で一気に崩壊へと加速する。

ヴィンセントのその人間味を知っているのは、隣人のオリバーだけ。
悪いこともしたけど、いいこともした。
どんな人生にも意味があるんだよ!!!



駄目人間を描いたなんという素晴らしい人間賛美。
終盤の展開に泣き過ぎて目がもげた。
もちろん悲しいからではない。
心が震えて泣ける。
もう一度生きる力を!!!



このハートウォーミングなコメディ。
今最も見にいくべき映画と思う。
とてつもなくオススメです!!!!






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  1. 2015/09/08(火) 21:58:50|
  2. 2015年公開映画
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○70『テッド2』ギリギリ...アウトー!!

Hey...FUCK!!

やりたい放題パロディー映画。
『テッド2』



~あらすじ~
アルバイト先を同じくする恋人タミ・リン(ジェシカ・バース)と結婚を果たしたテッド。親友ジョン(マーク・ウォールバーグ)との悪ふざけも相変わらず楽しんでいたが、給料の少なさからリンと喧嘩をする。この状況を打開する為に、テッドはリンとの間に子供を作る事を決意。子供を作るべく精子を手に入れることを画作するが、その過程でテッドは人間でなくモノだと政府につきつけられ、婚姻を無効にされる。人権を勝ち取るべく女性弁護士サマンサ(アマンダ・セイフライド)のもとへ相談に行くが……



















☆☆☆☆☆☆☆(70/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

~やりたい放題!!~
帰ってきたキチ◯イ・テディーベア。
2作目の今作は、まさかまさかのテッドの結婚式から始まる。
周りからド派手に祝福されるテッド。
その流れで、タキシードを来たテッドは、男女のバックダンサーを交えて巨大セットで軽やかに踊る。
そんな本格的なクラシックミュージカルからのタイトルシーケンス。
これぞ、ザッツエンターテイメント!!

テッドにミュージカルとか、ただやりたいだけやん....
そんなツッコミが聞こえて来そうだが、実際にこの映画は全てそこがキモ。

皮肉感たっぷりのパロディ。
リーアム・ニーソンの使い方とか、
モーガン・フリーマンに、ただ良いことを言わせたいだけとか、
ジュラシック・ワールドの壮大な展開とか、
まさしく今だからわかるパロディーがバシバシ決まる!!

他にも、
とんでもない角度から飛んでくるジョナヒルいじり(本人もびっくり...)や、
スターウォーズコスプレいじり、
やさかのトータルリコールのヤツとか...
映画への愛(バカにしている)がヒシヒシ伝わる。

もちろん、この爆弾は映画以外にも飛び火する。
ジャスティン・ビーバーを雑にいじりたかったり、
キムカーダシアンに何か吸わせたかったり、
ジェイ・レノに注釈入れたかったり、
やりたい事をやりきってくれるのが清々しい。

個人的には、アメリカンフットボールの名プレイヤー、トム・ ブレイディの精子を盗みに行く展開がバカバカしくて最高過ぎた。

しずれも、役者の映画でのイメージや世間にどう見られてるかを、本人自体が皮肉れるアメリカの懐の広さにあっぱれ。
日本でも、藤原竜也に、藤原竜也を演じて欲しいなぁ....


~ゲス&不謹慎ネタ~
そして、テッドの代名詞とといえば、所構わずぶっこまれる下ネタだろう。
特に今作は「男子は他人のモノは異常に汚らわしいモノとする」あるあるが炸裂。
あんな量の精子、見た事ない。
「ん?飲みにいく??」


もちろん、下ネタのライバル、ドラッグネタも負けてはいない。
出てくるキャラクターが当然のように葉っぱをすぱすぱ。
ハッパ吸う人、皆友達!!!

更に終盤、その永遠のライバルが見事なコラボレーションを果たす。
「これは、独り身パーティ用よ」

やっぱり下ネタとドラッグネタは、アメリカンコメディに欠かせない。
もちろん、腫れ物ネタの人種ネタも、セス・マクファーレンは容赦なくすばすば行く。
この辺りは扱い慣れてるのか、嫌悪感を感じにくい所を選んでいるよう。

しかし....
視覚障害者や、女性のある病気までいじりださしたのは、流石に引いた....
一応、物語上フォローはしてるが、やめときゃいいのに....不謹慎。
完全アウト!!!

9.11やロビン・ウィリアムスをあくまで間接的にではあるが、ネタにする。
この辺りも嫌悪感を抱く人がいるのではないだろうか。


しかし、これらの下ネタやパロディーが、うまく繋ぎ合わせて一つのストーリーにまとまっているのが本当に凄いよ、セス・マクファーレン。

こうやってアメリカのバカ映画を見てると、登場人物はいたって大真面目なわけで、ベロベロバーの笑いになっていないのが凄いなと改めて感じる...

~何をもって人間とする??~
こんなCUTEな皮を被った、くそみたいな映画だが、実は作品で扱われるテーマはめちゃくちゃ哲学的。
1がジョンが現実と向き合うストーリーなら、今作はテッドが自分とは...に向き合うストーリー。
大枠で見ると王道な続編で、ここもエンターテイメントとして潔い。

アメリカ政府からモノだと突きつけられ、究極のマイノリティーと化したテッドは自己の存在意義と葛藤する。
自分はモノなのか、ヒトなのか。
作品中でも引用されるように、これはアメリカが一時は否定し、そして向き合った黒人問題と重なる。
モノとして扱われた彼ら。
そもそも、人の定義とは何なのか...見た目が人でなければ、人ではないのか....

もちろん、こんな哲学的なテーマを内在しつつも、内容はふざけ倒している。
それでいてこの肝の部分は、ふざけ過ぎずに向き合っているように見えるバランス感覚は流石。

結論的な事はモーガン・フリーマンが言ってたけど、内容は全く入ってきてないんだけど(笑)


正直な所、尺が長すぎてテッドが悩みだしてからはかなりダレてるように感じる。
嫌悪感を感じる部分もあるし、完成度という意味では1作目の方が高いと思う。

しかし一作目以上にリアルタイムなネタを中心にふざけ倒してるこの映画を、
リアルタイムに見ないでいつ見るのか...
是非、劇場でバカ笑いを!!






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  1. 2015/09/05(土) 14:46:17|
  2. 2015年公開映画
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