シネマ・ジャンプストリート

劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

80『スポットライト 世紀のスクープ』靄がかかる

納得も納得。

アカデミー賞作品賞受賞作!!
『スポットライト 世紀のスクープ』



~あらすじ~
2002年、ウォルター(マイケル・キートン)やマイク(マーク・ラファロ)たちのチームは、「The Boston Globe」で連載コーナーを担当していた。ある日、彼らはこれまでうやむやにされてきた、神父による児童への性的虐待の真相について調査を開始する。カトリック教徒が多いボストンでは彼らの行為はタブーだったが……。
(シネマトゥデイ引用)



☆☆☆☆☆☆☆☆(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
本命なき今年度のアカデミー賞を制した映画。
実在の新聞「The Boston Globe」の記者達が、児童への性的虐待事件を暴露した実話を基に描かれた社会派ドラマです。
見かけ上、如何にもアカデミー会員好みな作品を監督したのは、俳優、脚本家、監督として活躍するトーマス・マッカーシー。
監督としてはそこまで有名ではなく、直近では『靴職人と魔法のミシン』など。

全国紙の特集欄「スポットライト」を担当するボストンの5人のチーム。
マイケル(マーク・ラファエロ)、サーシャ(レイチェル・アダムス)、ベン(ジョン・スラッテリー)、ジョン(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)。
そしてチームを率いる、ロビー(マイケル・キートン)。
新局長に就任した、ボストン育ちではないバロン(リーブ・シュレイバー)。
彼はゲーガン神父の子供への性的虐待事件が大して新聞に扱われていない事に疑問を持ち、チームに調査し記事にするよう持ちかけます。
5人のチームが調査を進めるていくにつれ、掛かっている靄の大きさが明らかになっていきます...

この映画は、教会側の視点や、起こったことは一切見せません。
対峙する鮮明な敵がいる訳ではありません。
全体像がわかりにくいまま進行する為、ぼやけた印象を持つかもしれません。
しかし、其れこそがこの映画のアイデンティティー。
システムと対峙し、靄が掛かってわかりにくいのは新聞記者と同じ立場。
「記者という仕事は闇の中をさぐり歩くようなものだ。」
全体の見えなさ、雲を掴む感じが、私たちにもシステムの不気味さを突きつけてきます。


そして、更にこの映画は一歩踏み込みます。
地元の平和を乱さないようにする風潮や、弁護士の役割や法律の意義を守るよう振舞う正しい信念なんかもそんなシステムに含まれます。
だからこそ...システムが人々を混乱させ、盲目にする。。。
靄を振り払った結果、ある記者が気付いてしまった事実のように、自分の間違いを見て見ぬ振りして、システムの一部にしてしまっていないだろうか?
エンドクレジットで突きつけてくる事実も、こんな出来事が目の前に転がっている事を示しています。

こんな分かりにくさだけの映画なのかといえば、そんな事はありません。
確かに、「世紀のスクープ」なんて派手な邦題が付いている一方で、実際はドラマティックな見せ場は少なく、非常に淡々と描かれる作品です。
しかし、特記すべきは無駄を徹底的に省いたテンポの良さ。
このテンポの良さと、皮肉に溢れる会話の面白さ、そしてジャーナリズムと言うべき信念の格好良さによって、ぐいぐい作品に引き込まれていきます。

ジャーナリストとしての自分達の存在意義。
自分達が守るべき人々。
少なくない人を傷つけたとしても、貫かなければいけない信念を貫く彼等5人の姿は本当にカッコよかったです。
(特に局長バロンの、多くを語らないけど、奥に信念を秘めてる佇まいは最高最高。)
信念に基づいて問題提起する。
これは、何も映画内のジャーナリストだけがもつ特権ではありません。
映画も同じ。
韓国映画『トガニ 幼き瞳の告発』は、社会のシステムすら変えてしまいました。
そんな力が映画にもある。
知らなかった事実を、知るきっかけとなる。
世の中に伝える役割をしっかりと担ってるだけで、本当に意義深い映画だと思います。
システムの分からなさの怖さや、事実の一端を叩きつけてくる展開しかり、タッチは違えど奇しくもアカデミー賞を争った『マネーショート 華麗なる逆転』と大部分で重なりました。

また、宗教を扱っている映画ですが、必ずしも宗教自体を否定している訳ではありません。
これは、ある人物が代弁しています。
宗教は悪くない。。。間違いがあるのは人間と、人間の作ったシステム。
宗教のバックグラウンドを一切持たない日本人の自分には完璧には理解できないかもしれませんが、それでもそれらがもたらす悪意は本当に本当に胸糞がわるいです。
「まず第一の前提として信じている物が、自分を攻撃する」
告発しても誰も(親すら)味方になってくれない。そもそも告発なんでしたくない。
神に裏切られながらも信じるしかない被害者。
そんな信仰心を利用した(語弊を恐れずに言うと...)良くできたシステムです。
精神が崩壊し、自殺者も多くいます。
それゆえ、生存者は「サバイバー」なんて言い方も...
信仰心のない自分にとっては、親からの虐待なんかを想像すると近いものを感じました。
生き方が分からなくなるだろう事は想像に難くない...
それでもいつかまた教会に。
ラストに訪れるあるお婆さんの描写は、胸が張り裂けそうになりました。


唯一の難点と言えば、テンポの良い展開の中で人物名だけが会話で飛び交う為、付いていくのが大変な点です。
人物名だけ、事前に予習していた方が良いかもしれません。

派手な展開はないものの、ぐいぐい引き込まれ、見る意義が詰め込まれた作品。
今年度のアカデミー賞受賞作を、今年度見なくていつ見るの!?オススメです!





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  1. 2016/04/27(水) 20:46:13|
  2. 2016年公開映画
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70『レヴェナント 蘇えりし者』 俺ならすぐ死ぬ

レオナルド・ディカプリオ、アカデミー主演男優賞おめでとう!!!

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ最新作
『レヴェナント 蘇えりし者』



~あらすじ~
アメリカ西部の未開拓な荒野。狩猟中に熊に喉を裂かれ瀕死の重傷を負ったハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、狩猟チームメンバーの一人、ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に見捨てられ置き去りにされたばかりか、最愛の息子を殺されてしまう。グラスはフィッツジェラルドに復讐を果たすため、厳しい冬の寒さに耐え、交戦中の部族の熾烈な襲撃を交わし、約300キロにわたる過酷な旅に出る……。
(Movie Walker 引用)





☆☆☆☆☆☆☆(70/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
今年度のアカデミー賞を争った3強の一角。
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは昨年の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』 で作品賞・監督賞を受賞したのに続き、二年連続で監督賞を受賞!
(色々と名前なげー)
今が正に旬の監督さんです。

そしてそれ以上に賞レースで話題なのが、
遂に...遂に...5度目の正直でオスカーを掲げる事が出来たレオナルド・ディカプリオ。
本当におめでとうございます!!!
序盤から、彼の体の張り様は、圧巻。
凄い凄いとは聞いていましたが、予想以上でした。

ディカプリオ演じるヒュー・グラスは、インディアンとのハーフの息子と共に、毛皮の狩猟チームに属します。
突如おとずれるインディアンの襲撃。
半数以上が惨殺され、命からがら生き延びたヘンリー隊長(ドーナル・グリーソン)率いる一行は山を越えて帰還する事を決意します。
その道中でグラスは熊に襲われ瀕死の重症に...
そして、足手纏いの彼を置いてこうとしたジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に、目の前で息子を殺され...
ここから、奇跡的に生き延びたグラスの復讐に向けたサバイバルが始まります。

この映画はR15+指定です。
スプラッター映画のような血がドバドバでる描写はありません。
しかし、序盤の惨殺シーン、そして熊襲撃シーン含め、本当に生々しく重々しい...
血が飛び出るのではなく、えぐられた傷口から滲み溢れる。
そんな描写が無理な人は、避けたほうが良いかもしれません。
ディカプリオのセリフは殆どない(というか喋れない)のですが、ボロボロになりながらも自然を生き渡っていく執念を文字通り体現しています。
サバイバル中に驚くようなシーンが数カ所あるのですが、実際に彼がやっているらしいですよ...
この映画でオスカー取れなかったら、もう諦めるべき。
そのくらい彼の独演は凄まじかったです。


しかし...
そんなディカプリオをも完全に食ってしまっているくらいの存在感を放つ人物がいます。
撮影監督のエマニュエル・ルベツキです。
3D映画の最終進化系体験映画『ゼロ・グラビティ』、擬似ノーカット映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』に続いて、なんと三年連続でのアカデミー賞撮影賞受賞。
今作では、自然光のみを用いた撮影+得意の長回しを駆使して、CGでは表現できない禍々しさを映し出し、3D無くして映像に奥行きを産みだしています。
臨場感...映像の美しさ...なんてもんではない、大自然におけるちっぽけな人間の驚異的な体験
イニャリトゥの極限状態演出と、ルベツクの自然の狂気を込めた長回し撮影がシンクロし、
「なんかすごい...」全ての画からこんな感情が溢れ出す作品に仕上がっています。

唯一の生きる希望だった息子を失ったグラス。
そんな彼の悲痛な執念に心を打たれます。
譲れない何かの前では、全体の正義などどうでもよい。
自分の命さえも...

また、この作品はネイティヴアメリカンに対する差別と迫害を真正面から捉えた、アメリカの暗部を映し出す映画でもあります。
この辺りがアメリカの懐の深さであり、アカデミー賞会員に評価された一因かもしれません。

ただしかし...長い...
個人的にはですが、イニャリトゥの最近の映画は、全て中盤で中だるみ...というより飽きてしまいます。
後30分短ければ...

話題が数多くあり、内容的にも映画館でこそ見るべき映画なのは間違いないので、
是非、映画館で体感して下さい!!



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  1. 2016/04/25(月) 23:55:16|
  2. 2016年公開映画
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75『ルーム』脆くも力強く...

閉塞した世界があぶり出す、愛の物語。

『ルーム


~あらすじ~
施錠された狭い部屋に暮らす5歳の男の子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)と、母親ジョイ(ブリー・ラーソン)。彼女はオールド・ニック(ショーン・ブリジャース)によって7年間も監禁されており、そこで生まれ育った息子にとっては、小さな部屋こそが世界の全てだった。ある日ジョイは、オールド・ニックとの言い争いをきっかけに、この密室しか知らないジャックに外の世界を教えるため、そして自身の奪われた人生を取り戻すため、部屋からの脱出を決心する。
(シネマトゥデイ 引用)





☆☆☆☆☆☆☆☆(75/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
衝撃的な設定。そこだけに終始しない物語展開。
トロント国際映画祭で観客賞を受賞し、一気に話題に。
賞レースでは、ブリー・ラーソンが終始ぶっちぎり、アカデミー主演女優賞を余裕でかっさらった、注目作でございます!!

監督は、100点の顔の持ち主マイケル・ファスベンダーが終始マスクを被り続けた『FRANK』の、レニー・アブラハムソン。
奇抜な「手段」によって、常に転がっているが見て見ぬ振りをしている「日常」をあぶり出す、マジシャンのような監督。
そんな監督が、「監禁物」を撮るのだから、単なるサスペンスで終わる訳がなく...
鑑賞後、時間と共に旨味が溢れ出す素晴らしい映画でした!

産まれてから、部屋の中しか知らないジャック。
唯一見えるのは天窓からの空。そしてテレビ。
混乱を避ける為、「そういう物」として母から教えられてきた。
しかし、5歳になったある日
部屋の外には、世界が広がってるのよと、母から突然言われるが....

部屋の外の概念など理解できる訳がありません。
彼にとっての世界は、「部屋」だけ。
もし自分の知る世界を否定されたら?
世界を知らないジャックの拒絶は、日常では味わえないなんともフレッシュな視点。
こんな理解できない視点だからこそ、部屋からの脱出決行の際にも、
決してドラマティックに共感には寄せず、比較的淡々と作戦が進行していきます。
しかしながら、ジャックが初めて世界を見た時の衝撃、世界の水々しさ、そしてその後に訪れる世界への畏怖は、本物そのもの。
画面に私達の知っている世界が戻って来た時、そこには素晴らしい体験が広がります。


この監禁からの脱出がクライマックスではありません。
むしろ先の物語が、この映画の本質。
世界を取り戻した母ジョイ。
初めて世界を手にした息子ジャック。
ジョイにとって唯一の希望であったのがジャック。
ジャックにとって唯一の存在だったジョイ。
この関係が必然に変化していきます。
「世界は広い...だから薄く伸びてしまう...」
慄きながらも次第に受け入れていくジャックに対し、懸命になってジャックを育ててきたジョイには取り戻せない7年間が突きつけられていきます。
そして遂には記者のある質問で、彼女の精神は...
決して共感出来るわけがない彼女の立場ですが、細やかな感情描写、役者陣の生々しさゆえに、人間の脆さが刺さります。

しかし、この作品を見終えた後、残るのはポジティブな感情です。
人は脆く、崩れそうになら...いや、実際に崩れてしまいます。
でも...でも...生きる事が出来る。
人間は、愛があるから崩れても前に進む事が出来るのです。
彼女達を取り巻く人物たちの細やかな葛藤や寄り添う優しさ、そして間違えや脆さ含め、素晴らしい人間賛美でした。

また最後に取るジャックのとある行動からは、またしてもフレッシュな視点を味あわせてくれました。
(そういう意味で、ポスターはめちゃくちゃ秀逸ですね。)
確かに、彼の世界を考えれば...その行動以外考えられません。
よく考えれば間違いなく納得なのに、目からウロコのフレッシュさを味あわせる...アブラハムソン監督はどのような視点で世界をみているのでしょうか...

ブリー・ラーソンのリアルこの上ない生々しい演技。
アカデミー主演女優賞は納得納得納得。
本当に「良い女優さん」だわ...
そして、作品のレベルを一段も二段も上げているのが、ジェイコブ君のナチュラルで水々しい演技。
全くもって違和感がない所か、彼の一つ一つの表情に思わず引き込まれます。
彼の素晴らしすぎる演技無くしては、ブリー・ラーソンの受賞も間違いなくありえませんでした。

唯一の欠点は、誘拐中及び逃亡作戦時における犯人のジャックに対する行動の説得力のなさ。
そこが大事な映画ではないのは百も承知なのですが、どうも気になってしまいました...

しかし、それを指し引いても素晴らしい作品です。
監禁という手段によって、世界の水々しさや生きにくさ、そんな中での人間の弱さや強さをあぶり出す。
そんな小さな部屋を、ぜひ大きなスクリーンで見てください!!



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  1. 2016/04/19(火) 20:30:59|
  2. 2015年公開映画
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75『ボーダーライン』これが俺の正義!!

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督最新作のフィルム・ノワールなサスペンス。

『ボーダーライン』



~あらすじ~
優秀なFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)は、メキシコ麻薬カルテルの全滅を目的とした部隊に入り、特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)のもとで極秘任務に就く。ケイトは早速、謎めいたコロンビア人(ベニチオ・デル・トロ)と共に国境付近の捜査を開始。人が次々と亡くなる現実を突きつけられたケイトは……。
(シネマトゥデイ引用)




☆☆☆☆☆☆☆☆(75/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
『プリズナーズ』『灼熱の塊』、『複製された男』
驚くほど様々な手法で、いずれも人間の内面のおどろおどろしさを描き出してきた、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の最新作!
という事でめちゃくちゃ楽しみにしていたのですが...
これが、やはり期待を裏切らず、サスペンスフルで人間の不穏さに満ちた、素晴らしい作品でした!

原題はsicario。スペイン語で殺し屋。
この意味は作品の終盤で明らかに。
放題の「ボーダーライン」ですが、こちらの方がより作品のテーマをストレートに言い当てています。

誘拐事件の捜査をしていたエミリー・ブラント演じる優秀なFBI捜査官のケイト。
人質が大量に殺害されている残虐な現場での捜査中、追い打ちをかけるように現場で爆発が起こり捜査員を失います。
リーガルな正義を信じるケイトですが、無力を突きつけられ...
そんな中、誘拐事件を首謀した麻薬カルテルの全滅を試みるグループに抜擢され、物語が動き出します。

行き来するメキシコとの国境。
眼前に広がるのは暴力と死。
高架にぶら下がる、身体の一部を切り取られた無数の死体。
サッカーをする少年達の近くで鳴る、日常の銃声。
こんな地獄のような現実。
これがこの映画の背景に過ぎないのです。

麻薬カルテル対策チームに合流したケイトですが、自分の役割が分からないまま作戦が進行していきます。
もちろん分からないのは我々、観客も同じ。
そんな中、明らかにこちら側の正義に属さないオーラを放つ、ベニチオ・デル・トロ演じる謎の男。(彼の存在感だけで、お腹いっぱい!)
彼が何者で、このチームの本当の所の作戦は何なのか...

作品の進んでいる方向が分からなければ、どうでも良くなっていくものですが、
今作はむしろ逆なんです。
突如何が起こっても、おかしくない。
突如どんな行動をとってもおかしくない。
そんな状況に放り投げられます。
舞台の背景や、分からなさ、そして絶妙な音響効果が、サスペンスフルに緊張感を持続させます。

そしてこの映画の最大の魅力は、良質なフィルム・ノワールである事です。
ある運命の人物(ファム・ファタール)との出会いで、知らなければよかった社会の闇を知り...
踏み入れたが最後、ずぶずぶと足を進めてしまいます。
彼女が信じるリーガルな正義。
しかしアメリカとメキシコのボーダーライン(国境)で、目にするのは死と隣り合わせの違法な捜査。
明らかになっていく事実は、彼女の正義とは相反する正義。
あってないような交戦規定。
途方も無い現実を前に、自分の「正義」や「信念」なんて脆いもの。
貫きたくても、貫けない物かもしれません...
彼女が自ら超えたのはどの瞬間なんでしょうか?

そして、ある人物にとっての正義に、誰もが決して否定など出来ないはず...
人生を尽くしてきた、
「これが俺の正義だ!!!」

一緒に見た人と語りたくなる事は間違いなし。
それでいて、エンターテイメントとして普通に面白いので、是非劇場で見て下さい!




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  1. 2016/04/11(月) 22:52:10|
  2. 2016年公開映画
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60『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』正義とは...

今春、最大の注目作!!!

世界2大ヒーローの大衝突。
『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』





~あらすじ~
バットマン(ベン・アフレック)は、両親の殺害現場を目撃したという過去のトラウマから犯罪者一掃に力を注ぎ、一方超人的能力を持つスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)は、その力を人類のために惜しみなく使ってきた。だが、その破壊力の強大さゆえに、スーパーマンは人々からバッシングを受けるようになり……。
(シネマトゥデイ引用)





☆☆☆☆☆☆(60/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
ヒーローといえば?
そんな疑問に真っ先に上がってくる存在。
それがスーパーマンとバットマン。
そんな両者が大画面の中で遂にぶつかるのだから、公開前からテンションが沸騰するのを避けられる訳もなく!

『シビル・ウォー/キャプテンアメリカ』『デットプール』『X-MENアポカリプス』『スーサイド・スクワッド』など連続するアメコミイヤー2016年を間違いく象徴する超大作の監督を務めたのはザック・スナイダー。
『300』や『ウォッチメン』『エンジェルウォーズ』など、重々しく肉肉しい作品を手がける個性的な監督です。
そして今作のはっきりとした前作に当たるスーパーマン誕生の前日譚『マン・オブ・スティール』も監督しており、ヒーロー同士が映画間でクロスオーバーし、世界観を共有するDCエクステンディッド・ユニバースの顔といってもいいのではないでしょうか。
アメコミ界のもう一つの巨頭であるマーベル(アベンジャーズ作品群)が切り開いたこの流れ。
技術力の向上やノウハウによって、実写ヒーローをバカっぽくなく描けるようになったからこその楽しみ。
マーベルの二番煎じと批判する人もいるけど、私はこの時代に生まれた幸せを感じています!
(個人的にマン・オブ・スティールは、スーパーマンの戦い方の見た事なさには超絶燃えましたが、それ以外は....)

冒頭から、前作同様にしっかりとノーランの「ダークナイト」の系譜を受け継いだ(作品としては無関係)シリアスでリアル路線の雰囲気で始まります。
『エンジェルウォーズ』の冒頭を豊富とさせるブルース・ウェインがバットマンになるまでのシーケンス。そこから一気に前作のクライマックスシーンに放り投げられます。
『マン・オブ・スティール』未見の方はチンプンカンプンでしょう。
その戦いによりブルース・ウェインの会社が破壊され、従業員が大勢亡くなります。
そしてその被害により、バットマンによるスーパーマンの「正義」への否定が始まる訳です。
前作の大不満点「スーパーマン 人巻き込みすぎだろ...」を見事に今作に活かしていたので...そこは文句言い過ぎてすみません!

今作のバットマンは20年もヒーローをやっているのに、ゴッサム・シティが平和にならずにクタクタです。
そんな彼を上手く利用したり、弱点であるクリプトナイトを使って、スーパーマンを倒そうおするのが超絶IQを持つ軍事会社社長のレックス・ルーサー(ジェシー・アイゼンバーグ)です。
ルーサーは言わずと知れたスーパーマンの宿敵。
今作でルーサーを演じたアイゼンバーグは髪の毛ふさふさなんですが、独特のスカした早口で、新たなレックス像を生み出しました。
そしてルーサーに導かれるように、終盤対峙してしまうバットマンとスーパーマン。
やはり、この二人が同じ画面に映るとテンションがん上がり。
クライマックスまで続く怒涛のアクション。
画面に映る一つ一つにこれほどまでの重みが感じられるのは、ザック・スナイダー監督ならではだと改めて実感します。

目の前の一つ一つに善をなす事が正義と考えるスーパーマン。
一方のバットマンは、自ら悪を潰しに行く事で正義を実行します。
こんななんとも現代的な「正義」の相違を持つ二人のヒーロー。
戦い方の違いも非常に面白いです。
スーパーマンは常に圧倒的に強い。が故に、「強者の戦い方」しか出来ません。
スーパーマンにとっては虫けらのような力しか持たないバットマン。勝っているのは身体の大きさだけ。しかし、彼は「弱者の戦い方」をしっているのです。
一見卑怯に見えるバットマンの戦い方は必見です。

物語の大半はバットマンの視点で話が進みます。
しかし、終わってみると、やはり『マン・オブ・スティール』の続編であり、スーパーマンの物語だったという印象が残ります。
前作はスーパーマンが世界をどうみているかの物語であったなら、今作は世界がスーパーマンをどう見ているのかという物語でした。

また、もう一人のヒーローであるワンダーウーマンについても忘れてはいけません。
出番は多くないですが、あんなカッコ良い登場シーン見たことありません...
歴代アメコミヒーローの登場シーンの中でも、最大級にテンションが燃え上がりました!


しかしながら...今作はバランスが非常に変わっており、個人的には乗り気れない要素が余りにも多く感じました。
まず、序盤から視点が飛びまくる。なぜそこに辿り着いたか等は無視して場所も飛びまくるゴリゴリ展開で、話が散漫に見え....次第にどうでも良くなってきます。

またバットマンとスーパーマン、前述の通りそれぞれ闘う理由があるのに関わらず、いざぶつかるときには別のある要素(+勘違い)が絡んでくるため、最大級に盛り上がる筈の決戦も、「話を聞いたれよ!」という気持ちにしかなれません。
もっとシンプルにスーパーヒーロー2人の戦いを見たかった...

更にその二人の戦いの終着点にも疑問が残ります。
あれだけ風呂敷を広げた「正義はどうたら」っテーマは?そこをうやむやにして「別の要素」の解決で、いかにも全て解消されたって形の終結は、ずさん過ぎるように感じます。
更に、ラストでスーパーマンが「あれ」をやらなくてはいけなかった必然性。
確かに自作に向けてという意味では大人の事情の必然性はあるのだが、結局バットマンは何をしてるの...

全体的に雑な印象を拭えず、不満の残る箇所も多くあります。
しかし「ジャスティス・リーグ」へと繋がっていくこの世界観の続きが、非常に非常に楽しみです!
特にこの結末の続きには、ワクワクを隠しきれません。

バットマンとスーパーマン。
こんな映画をリアルタイムで観れるのに、映画館で観ないなんて、勿体ない!
是非劇場で観ていただきたい。





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  1. 2016/04/02(土) 00:11:07|
  2. 2015年公開映画
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