鎖は決して断ち切れない
この映画、嫌いな人いるの?
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
~あらすじ~ピーター(クリス・プラット)は“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”のまとめ役として、刑務所で出会ったくせ者たちを率いている。宇宙一荒っぽいアライグマのロケットは、ブツブツ文句を言いながらも小さな相棒ベビー・グルートと共に銀河の平和を守るために奮闘。緑色の肌を持つ美しい暗殺者ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)らと共に行動し……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆(85/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)最高のスペースオペラが帰ってきた!MCUシリーズ15作目にして、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの2作目。
前作に引き続き、分かってる男、ジェームズ・ガンが監督。
映画史一軽いヒーローのスター・ロードことピーター・クイルや、「見た目だけ可愛い」喋るアライグマのロケット、冷徹セクシーな暗殺者ガモーラ、デリカシー皆無の脳筋野郎ドラックス、知性を持った木でリボーンしたベビー・グルード、更には海賊艦長にしてクイルの育ての親ヨンドゥなど、前作に続き最高にキャラの立った、ならくれものどもが集結。
今作もノリで世界を救っちゃいます。シリーズを重ねるごとに敷居が高くなっているMCUシリーズ。
しかし「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」はMCUの一部でマーベル作品と世界観は共有すれど、物語としては完全に独立。
MCUシリーズ未見の方も、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだけは見ていただきたい!シリーズに通じる子ネタは確かにあるが、単体としてめちゃくちゃ面白いので!!
前作では、個性散らばったはみ出し者や憎まれ者故にチームとなり、結果世界を救ってしまったガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。
最高なチーム形成映画だった訳ですが、今作はまた新たなストーリーを描いています。
今シリーズの最大の特徴といえば
70'sポップミュージック。
ピーター・クイルの地球ないしは母との唯一の繋がりであるウォークマンを劇中で再生すると、歌詞がまんまストーリをなぞったり暗喩したりしていきます。
彼らの前に、今作のキーマンであり、クイルの出生の謎にせまるある男が登場、チームが一時的に解散する中でかかる音楽「ザ・チェイン」。
「いま俺を愛していないのなら、二度と愛することはないだろう」
「お前は鎖を断ち切ることはできない」この77年発売のマイナーな音楽が、
新たな鎖がチームを引き裂いていく...というこの後の展開への不安を煽ってきます。
しきり流れる景気の良い70's音楽同様に、映画自体のルックもスペースオペラ全盛の古臭さ。
見た目だけでないキャラクターデザインや、各惑星の色使いや設定など映画自体に統一感がなくてバラバラなんだけど、それが逆にこの映画の統一したスタンスに。
このコンセプトの元で
徹底された映画全体のデザインが、絶妙にダサカッコ良く特に、テクノロジーが過剰に発達した全身金ピカ星人のキャラクター設定や、闘い方が最高。
ゲームかよ!!
やはり、映画、特にSFに関してはあらゆる意味でのデザインが全てだなと。
そしてもう一つの特徴が、テンポを崩さずに次々と投与される子ネタ。
パックマンやメリーポピンズなギャグや、キャラクターの特徴を最大限駆使する本人は大真面目なネタの数々。
悪口ばっか言われるロケットや、徹底的に空気の読めないドラックス最高でした!
前作以上の子ネタの数ですが、この作品がすごいのは全く物語の流れを止めないところ。
子ネタがキャラクターを掘り下げ、子ネタがストーリーを構成していきます。そして最終的にはそれらを活かした着地。
素直になれない者同士がたどり着く、唯一にして最後のあがき。ピーター・クイルにとって、グルートにとって、そしてある人物にとって、家族とは一体何だったのか...終始楽しんだあげく、前作以上に泣けるとは!!
爆笑に次ぐ爆笑、そして号泣。
スペースオペラとしてこれ以上何を求めるの?
超オススメです!!!
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- 2017/05/25(木) 20:32:27|
- 2017年公開映画
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ストーリーが線になって成長。
『3月のライオン 後編』
~あらすじ~
プロ棋士の桐山零(神木隆之介)が、川本あかり(倉科カナ)、ひなた(清原果耶)、モモ(新津ちせ)の川本家3姉妹と食卓を囲むようになって1年。彼女らとの交流に安らぎを感じる一方で獅子王戦に臨もうとするが、幸田柾近(豊川悦司)は頭をけがして入院、その娘・香子(有村架純)は妻のいる後藤正宗(伊藤英明)との関係に悩み、二海堂晴信(染谷将太)は自身の病気に苦しむなど、それぞれ試練に直面していた。さらに、川本家には3姉妹を捨てた父親が現れたことで不穏な空気が漂い始める。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)マンガ大賞など、数々の賞を受賞している羽海野チカさん原作漫画の実写映画化。
の、後編!
前編の感想は
こちら。
対局シーンを中心に据えた、見応え充分な青春将棋映画であった前編。
今作後編では、完結していない漫画をいかに完結させるかが難しい中、
「零の人間しての成長」をショートストーリーの繋がりで表現し、最終的にはエモーションが最高に高まる結末に持っていくという、非常に素晴らしい映画になっていました!
前作で新人王となった零ですが、今作は主に将棋以外の様々な問題に悩まされ、それらが矢継ぎ早にショートストーリーとして紡がれていきます。
前作以上に、零を取り巻く人々の悩みが「じわじわ」と表面化していき、脇のキャラクターに深みが帯びていくのはやはり素晴らしい。
そんなショートストーリーの連なりの中で、特に原作漫画における最大の魅力と言っても良い、川本家とのやり取りが今作では大きなウェイトをしめていきます。
愛情に満ちた川本家での時間が最高で、ずっと見ていたい。
そんな時間が、「将棋しかない!」と思っていた彼を、「彼らの為に何かしたい」そう強く思うまでにしていきます。
しかし、川本家の父が突如現れる事で、彼の
思いやりが最悪の展開に繋がってしまい...
父vs零のあるシーンは、余りにも苦く...辛く...素晴らしい名シーンです。前作で提示した観客の気づきと、零の気づきが一致していないという欠点。
これは今作を見て、人間としての成長をピークに持っていかないように、あえてしていた事を痛感。
関係なさそうなショートストーリーの連続で、
他者への思いやりを持つ成長から、独りよがりな思いやりに対するカウンターをくらう事で、更に多重的な成長を将棋と同期してドラマチックに演出。ラストに向けて、涙が溢れ止まりませんでした!
更に忘れてはいけないのは、絶対王者、加瀬亮演じる宗谷名人の存在。
他のキャラクターは苦悩を掘り下げるのですが、彼の人生に関しては、全く掘り下げません。
辛うじてあるのが、うわさ話と時折見せる無の表情。
これが絶妙で、この作品を更に奥深くしていきます。
これからも、人生は続く...
キレのある終わり方も最高でした!
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- 2017/05/22(月) 20:20:14|
- 2017年公開映画
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ファミリー、それは絶対裏切らない。
大人気シリーズの8作目。
『ワイルド・スピード ICE BREAK』
~あらすじ~誰よりも仲間を愛し大切にしてきたドミニク(ヴィン・ディーゼル)の裏切りにより、彼らの結束は崩れようとしていた。だが、彼の行動には謎のサイバーテロリスト(シャーリーズ・セロン)が関与していることがわかる。レティ(ミシェル・ロドリゲス)やローマン(タイリース・ギブソン)らはドミニクを取り戻すため、最大の敵デッカート・ショウ(ジェイソン・ステイサム)と手を組むが……。
(シネマトゥデイ 引用)
☆☆☆☆☆☆☆(75/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)あの大人気シリーズの8作目にして、ラスト三部作の1作目となる作品。
前作の『ワイルド・スピード SKY MISSION』では、シリーズ主演の一人であり、華を添える存在だった、ポール・ウォーカーさんが完成前に不慮の事故で他界しました。
一時は公開困難とされた作品でしたが、製作陣のとてつもない努力で完成にこぎつけます。
それも、無理のある完成では決してなく、
映画史上最高に愛のあるエンディングにより、多くのファンにとって生涯忘れられない映画体験となりました。追悼の観点だけでなく、「ファミリー」に焦点を当て続けたシリーズのラストとしても、完璧な終わり方であった為、今回の続編に対しては懐疑的ではあったのですが...
今回もめちゃくちゃ楽しんでしまいました!
映画のシリーズ化が進む中、既視感で旨味が減ってしまい、こけてしまうシリーズが残念ながら多い中、
このワイスピシリーズでは、過去作のストーリーと人物関係を、新たな作品の背景として直接的に活用したり、角度を変えて別の物語を抽出したりと、
シリーズを繋げていく方法が極めて巧みで、シリーズが進むに連れて旨味が増していく、非常に珍しい作品になっています。
かけ値なしに、ビッグバジェト物の正しいシリーズ化の道を作ったシリーズと言ってよいと思います。
この作品毎に増していくキャラクターと背景を活かし、ジャスティン・リン監督が起用された4作目『MAX』以降でチーム強奪物として活路が見え始め、5作目の『MEGAMAX』で完全に確立されました。
そして、チーム物、ファミリー物として、前作『SKY MISSION』で完璧なゴールを迎えた訳ですが、今作ではそれをぶっ壊してきます。
そしてその破壊の中にも、過去作で積み重ねられてきた背景による旨味が、目一杯つまっているから、今作も最高だった訳です。
今作で初めて単独の主人公となったドミニク。
誰よりも仲間、ファミリーを大切にしてきた彼ですが、ある「理由」により巨大兵器をテロリストへ横流しせてしまいます。
彼の裏切りにより、ホブスは投獄され、レティやノーマンら仲間たちにも危機が...
そして遂には、ファミリーの中心ドミニクと、彼によりファミリー化していったメンバーとの、争奪バトルへと繋がっていきます。
裏切りの「理由」が伏せられたまま進行する前半、明かされる事であまりの無理ゲーさに胸が締め付けられる後半。シリーズらしく、ハイテンション・テンポで複数のキャラクターが交差していきます。
その中でも、今作はストーリーの軸がよく整理されており、
シリーズ史上最高に見やすく誰が見ても楽しめる出来になっています。『ストレイト・アウタ・コンプトン』でも遺憾なく整理・構築力を発揮した監督、F・ゲイリー・グレイさん流石!という点でしょうか。
また、ワイスピシリーズで欠かせないのがカーアクション。
毎度毎度の事で本当凄いのですが、今回もフレッシュなカーアクションを見せてくれています。
最大の見せ場は、やはりポスターにもなっている
クライマックスの氷上カーチェイス。
氷の上だからこそ出来るアクションの連続でもう最高なんですが、このアクションのエンディングカットはまたもや映画史に残る名シーンに。
シリーズが常に投げかける家族とは?ファミリーとは?という疑問に対して、極めて純度の高い一方通行であるべき解が、最大級にカッコ良い映像で提示されます。もうこのシーンだけで、今回の映画も大大大満足!!
色濃くなるハゲ率や、キャラクターの性格変わっちゃってるとか、やり過ぎなカーアクションとか、笑ってしまうバランスを徹底している所も最高です。
ですが、唯一にして結構大きなノイズになってしまったのも、中盤のカーアクション。
映像的快楽を求めすぎて、良い側のはずの者達の行動故に、どう考えても部外者の犠牲が出てしまっている所。
しかも、ストーリー上でその犠牲は完全に無意味で無視。
「お前らのせいでめっちゃ死んでるだろうけど...」
この不満は『EURO MISSION』を見た時に近いかもしれません。
いや、それでも基本最高だし、ラスト超最高だったから、全然文句なし!!
過去作見ている方は、今作も必見です!!
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- 2017/05/06(土) 20:49:22|
- 2017年公開映画
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ど直球、真っ向勝負。
『美女と野獣』
~あらすじ~進歩的な考え方が原因で、閉鎖的な村人たちとなじめないことに悩む美女ベル(エマ・ワトソン)。ある日、彼女は野獣(ダン・スティーヴンス)と遭遇する。彼は魔女の呪いによって変身させられた王子で、魔女が置いていったバラの花びらが散ってしまう前に誰かを愛し、愛されなければ元の姿に戻ることができない身であった。その恐ろしい外見にたじろぎながらも、野獣に心惹かれていくベル。一方の野獣は……。(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆(70/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)ディズニーアニメーションを、ディズニー自身の手で実写化。
『マレフィセント』、『シンデレラ』と続いてきましたが、この流れは今後も不可避であり、『リトルマーメイド』や『プーさん』『ライオンキング』なんかも名前が上がっております。
単純な実写化という意味では、賛否は別れてしかるべき所、『マレフィセント』では主観の視点を変え、『シンデレラ』では現代的なストーリーに再構築をする事で、興行的に大成功してきました。
特に、『シンデレラ』は実写化するこれ以上ない正解を出しちゃった傑作と思っています。
そして、その上記二作と比べて、20年前であれば
圧倒的に実写化の難易度が高かったのが、今回の『美女と野獣』です。
「実写化する、そしてそこに説得力がある」という事こそが最低条件にして、超高難易度の絶対条件。
ここをクリアできてしまえば、もともとカルト的な人気を有する作品だけあり、それだけで5億点出ちゃう、『美女と野獣』はそんな作品かもしれせん。
そんな事で、今回のディズニーは、過去二作とは異なり、変化球なしの直球勝負に挑んでいます。
そして、見事5億点を出しちゃいました。
『シンデレラ』はストーリーの改変によって現実味をもたらした一方で、
『美女と野獣』はビジュアルの説得力によって、新鮮な作品へと生まれ変わっています。もう一つ、作品自体から古びた印象を受けないのは、そもそもの『美女と野獣』が持つテーマが、まさに今に通ずる物だからこそ。
見た目や生まれによる差別、そして「~であるべき」という固定概念にさえ、はっきりとNOと言っています。(この辺り、近年のディズニー映画全てに共通していますね。)
また、今作で強調されてはいますが、フェミニズム的な主人公の立場も、オリジナルアニメにあった要素。
ストーリー自体ほとんど変わっていないのに、今の映画に感じさせてくれるあたり、改めてオリジナルアニメの凄み、名作たる所以をこの作品を通して尚も感じました。
とはいえ、今作は多少の改変も付け加えています。
自己表現や、女性の権利といった元々アニメーションの中にあった「今の題材」を強調しているのはもちろん、
コメディキャラでしかなかったル・フウの変化、ベルの過去の物語などが、付け加えられ、ステレオタイプなパートを補正し、深みを作っています。
また、オリジナルアニメで私がどうしても「この野獣、別に自分の行動を悔ひ改めてなくね?」と不満に感じていた部分に関しても、感情に深みが帯びるという形で、一応納得出来たのが良かったです。
一方で少しがっかりしたのが、食卓のシーン。
オリジナルアニメでは最も上がるシーンでしたが、今作は何がどうなっているのか、見せ方の整理がされていないように感じました。
とはいえ、期待通りを叩き出すのが難しい題材で、見事期待通りを叩き出してくれた今作。
今後の実写化の流れも楽しみになってきました!
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- 2017/05/01(月) 17:51:55|
- 2017年公開映画
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