MCU版スパイダーマン始動!
『スパイダーマン ホームカミング』

~あらすじ~
15歳の高校生ピーター・パーカー(トム・ホランド)は、まるで部活動のようなテンションでスパイダーマンとして活動していた。まだ若い彼の才能に気付いたアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、ピーターを真のヒーローとして育てようとする。スタークに新しいスーツを新調してもらったピーターは、意気揚々と街へ乗り出し……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
ソニーエンターテイメントによって、1994年から始まったサムライミ/無印版の三部作、2006年からのマークウェブ/アメイジング版三部作(二部で打ち切り)と、過去二つのシリーズが作られてきたスパイダーマン映画。
近代的なアメコミ映画の先駆けとなり、特に日本ではアメコミ=スパイダーマンというくらいの知名度を得ています。
そんな中、ご存知マーベルコミックスのヒーロー達が超大作映画作品をまたがって世界観を共有するMCU(マーベルシネマユニバース)がスタート、映画のシネマユニバース化のムーブメントを作ります。
マーベル原作の大人気コンテンツ スパイダーマンですから、本来はMCUに入って然るべきところ、大人の事情でここまで組み込まれず...
ソニー製アメイジングシリーズが転けた事で(私はセンチな2作目が大好きですが!)、独自路線を撤回、ここにきてのMCUに本格参戦となった訳です!!
アクション映画という枠組みにとらわれず、作品の本質を見極めた上での監督人選に定評のあるマーベル。
スパイダーマンの監督に選んだのは、なんとなんとボーイ・ミーツ・アダルトな傑作『コップ・カー』のジョン・ワッツ。
主演を演じるのは、撮影当時19歳とスパイダーマン史上最年少で年齢も近い新星トム・ホランド。『白鯨との戦い』で自然の猛威から生き残る若い乗組員を印象的に演じたキュートな少年です。
そして、予告等で明らかになっている通り、アイアンマンことトニースタークが、15歳のピーター・パーカーを導く非常に重要な役で登場します。
MCUの中でしか出来ないスパイダーマンとは?
スパイダーマンらしさ...その一つの大きな要素であるのが、アクション中の軽快な「軽口」と、そこからにじみ出る「若さ」「青さ」。
マーベル作品で唯一青春物でもあるスパイダーマンにとって非常に重要な要素ですが、これまでのシリーズでは、作品の性格上どうしても「軽さ」を強調できませんでした。
そこには過去2シリーズ、特にアメイジング版で顕著だった長ったらしい「ヒーローになるまでのエピソード」との関わりが。
限られた時間の中でこの少し重たいエピソードが組み込まれる事により、スパイダーマンに対して観客は冒頭から勝手に「責任」を押し付けざる得ませんでした。
特にアメイジング版の一作目では、その責任を勝手に受け取ってしまったが故、中盤のピーター・パーカーのヘラヘラ軽い行動に軽く苛立ちを感じてしまいました。
しかし今作では、過去シリーズから年月が浅い事、そしてMCUというそもそもの軸が存在する事が、
シリーズのリブートである以上、本来は必要不可欠な導入部の大胆な排除を許しています。
それにより、退屈なエピソードが無くなっただけでなく、冒頭のスパイダーマンから「重さ」「責任」を排除し、「青くて無謀」な要素を微笑ましく凝縮させる事に成功。
トムホランドが纏う若さが後押しし、過去シリーズ最も応援したくなる、成長を見守りたくなるスパイダーマンになっています!!
特に、冒頭の『キャプテン・アメリカ シビルウォー』の舞台裏でのはしゃぎ様は本当微笑ましく、最高でした。
そしてもう一つ、MCUである事を最大限活用する事で、スパイダーマン論に正しく帰着させる事に成功しています。
本作のスパイダーマンのヒーロー活動の動機、それはアベンジャーズへの憧れです。
彼が「アベンジャーズに入れて!?」とアイアンマンことトニースタークに懇願、そして無茶なヒーロー活動へと手を伸ばしていきます。
そんな15歳パーカーに、メンターのスタークおじさんは「地に足つけろ!」と説教する訳です。
そんな中で暗躍するのが、マイケル・キートン演じる今作のヴィラン、ヴァーチャー。
アベンジャーズの宇宙人から地球を防衛する為の戦いの中で、彼はマーベル史上最も人間らしい理由により誕生します。
つまり、アベンジャーズの地に足をつけられない戦いの中で、彼は生まれた訳です。
アベンジャーズの存在への憧れと、一部共感せざるえないヴィランの主張。
この対比を活用し、スパイダーマンがスパイダーマンである所以、つまり『親愛なる友人』という解へ繋がる展開に、もうこれ以上の正解ないでしょと、最高に上がりました。
トムホランド演じるスパイダーマンが良いと書きましたが、マイケルキートンが演じる悪役ヴァーチャーも素晴らしいです。
内なる狂気と良心。
マイケルキートンの目力と、『バットマン』『バードマン』ときたフィルモグラフィーが、これほど現実的で奥行きの感じるヴィランを実現しました。
そんなスパイダーマンとヴァーチャーが対峙する中で最もスリリングでエキサイティングなのが、アクションではなく会話シーン。
ネタバレになるので詳しくは語りませんが、流石『コップ・カー』のジョンワッツ監督!
ホームカミングパーティへと繋がる展開は、マーベル史上最高にぞくぞくする対峙シーンになっています。
唯一、アクションの見づらさだけは指摘しておきたいのですが...
スパイダーマン史上、最高に無邪気で楽しい作品、是非劇場で見てください!
オススメです!
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