シネマ・ジャンプストリート

劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

85『孤狼の血』ど直球に面白い!

東映復活?スケールアップでしょ!

『孤狼の血』



~あらすじ~
昭和63年、広島の呉原では暴力団組織が街を牛耳り、新勢力である広島の巨大組織五十子会系「加古村組」と地元の「尾谷組」がにらみ合っていた。ある日、加古村組の関連企業の社員が行方不明になる。ベテラン刑事の刑事二課主任・大上章吾(役所広司)巡査部長は、そこに殺人事件の匂いをかぎ取り、新米の日岡秀一(松坂桃李)巡査と共に捜査に乗り出す。
(シネマトゥデイ引用)








☆☆☆☆☆☆☆☆(85/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)

日本エンタメ系映画界で、最も旬な存在
『彼女がその名を知らない鳥たち』や『日本で一番悪い奴ら』、『凶悪』やの白石和彌監督最新作!

「普通」から外れた人と「普通」の世界のズレが、躍動たっぷりに物語をうねらせていく。
一言で言うとこんなジャンルが、白石監督によって、新たな日本映画の定番になりつつある。

そのくらい、今日本映画界で大きなキーマンになりつつある監督です!



柚月裕子さんが2015年刊行の小説を原作に、W主演を務めるのは、日本映画界だ変えの効かない位置に達した役所広司と、その階段を怒涛の勢いで登りつつある松坂桃李。

二人とも大好きな俳優さんと言うこともあり、これだけで見る価値あり!と思っていた所...

その周りを固めるのは、真木よう子、遠藤憲一、江口洋介、ピエール瀧、石橋蓮司、中村倫也、音尾琢真、嶋田久作、阿部純子といった豪華な面々。

さすがかつての東映ブランド復活を掲げた実録物で、渋く濃い面々を集中させた『アウトレイジ』とはまた違う、個性豊かな面々が集まりました。




東映実録物といえば、『仁義なき戦い』を中心としま70年代~80年代の一大ブランド。
菅原文太や松方英樹、梅宮辰夫、渡哲也など数々のスターを生み出した訳ですが、そんな東映ブランドは90年代に一気に収束。

この手の硬派なジャンル映画は、現在では完全に韓国の物に...

ふざけるな!と。

そんな意気込みで、「東映の回帰」を目指した本作ですが、現代に通ずるテーマと映画の密度は遥かに過去の東映を上回る、見事な現代的再生に成功しています!



舞台は、極道映画全盛であり、極道が見た目で判別可能だった時代で、昭和末期の暴力団対策法施行以前の広島。

ヤクザ以上にヤクザな方法で騒動を抑えようとする大上と、
配属されたばかりの優等警察官の日岡

汚れた先輩と純潔な新人。
これは、白石監督自身の警官内汚職を描く『世界で一番悪い奴ら』や、対マフィアの傑作『トレーニングデイ』、職業は違えど『SCOOP!』のような、定型的な設定ですが、そこからの物語としての振り方は作品によって異なります。


では今作はというと、
ルックはど真ん中の極道映画である事は間違いありません。

次々に展開される出来事はどれも強烈で、パンチが効きすぎて笑っちゃうほど。
(俺の真珠が欲しいじゃろかー!?)

それでいて、そこに画面に熱量を込めるのが秀逸な白石監督の手腕が乗っかると...
熱量半端ない画面の力で、怒涛の勢いで転がっていく物語を前のめりで魅せきる、これぞ「白石監督の手腕ここにあり」な極道映画になっています。


一方で、ドラマとしては『トレーニングデイ』のようなハードボイルド警察物としての系譜
バディを組む中で、正義とは何なのかを揺るがし、過去の時代を生きた者から今の時代を生きる者への継承の物語へと繋がっていきます。

過去の時代を生きる人=大上。
彼がが関与すると、スクリーンに必ず過激でパンチのあるシーンが映ります。
勿論それは物語上で意味も帯びているので、二重で引き込まれます。

そんな大上のやり方は、日岡目線では余りに横暴で法外で、黙認出来る物ではありません。

しかし、彼の「横暴さ」が、次第に「ある想い」の強調に見え始め...
牢獄とは?ロープとは?
詳しくは書きませんが、大上の理屈が、見る見られる関係の入れ替わりという純映画的な手法で明らかになった時、サブイボが止まりませんでした!



密度が素晴らしく濃ゆい映画になっているのは、勿論白石監督の手話だけでなく、役者陣の素晴らしさがあってこそ。

役所広司は相変わらずスクリーンとの相性抜群。
彼が映ってるだけで、映画を映画たる物にする力が加わっているとさえ感じてしまいます。

そして、何より松坂桃李
目の奥から感じる何か...表面上の感情とはまた別の意味合いをスクリーンに帯びさせてくれる間違いなく映画向きの俳優さんだと思ってます。

勿論、彼ら以外も端から端まで最高で、
江口洋介は相変わらず持っていくし、真木よう子の姐御っぷりは惚れるし、石橋蓮司の引き締める存在感も素晴らしい。
後は個人的には阿部純子が印象的で、ぶっちゃけ惚れました...!?



復活!?
いやいや、
邦画の最前線ここにあり!な傑作極道エンターテイメント。

是非劇場で!おススメ!!







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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2018/05/28(月) 19:15:52|
  2. 2018年公開映画
  3. | トラックバック:10
  4. | コメント:0

85『君の名前で僕を呼んで』桃のような...

ルカ・グァダニーノ監督最新作は、甘酸っぱくジューシーな同性愛。

『君の名前で僕を呼んで』



~あらすじ~
1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と過ごす17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、大学教授の父が招待した年上の大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)と出会う。一緒に自転車で散策したり泳いだり、読書したり音楽を聴いたりするうちに、エリオはオリヴァーに恋心を抱く。やがてその思いは通じるが、夏の終わりが近づくにつれてオリヴァーが避暑地を去る日が近くなり……。
(シネマトゥデイ引用)









☆☆☆☆☆☆☆☆(85/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
『胸騒ぎのシチリア』や『ミラノ、愛に生きる』のルカ・グァダニーノ監督最新作。
イタリアの中堅映画監督ですが、すんません、今作が初見になります。
アカデミー賞で脚色賞を受賞するなど、海外での超絶評判に加え、男性同士の一夏の恋に対する予告編での爽やかさのギャップに、めちゃくちゃ楽しみにしていた作品です!

本作は、アンドレ・アシマンの同名小説を映画化。
その中でも、今作で前半部分までしか描かず、リチャード・リンクレイター監督のビフォア・シリーズ(大好き!)のような後編の構想があるとの事。
そしてその二部構成化の意味、ここで切った意味が、本作を見ればビシバシ伝わってる、そんな素晴らしい映画に仕上がっています。




舞台はイタリア。
17歳のエリオの元に、年上の学生オリヴァーが留学してきた所から始まります。

学問に通じ、自由奔放な大人オリヴァーが気になるエリオ。
芸術に秀で、危うさと幼さの残るエリオに対して距離を置くオリヴァー。
一夏という非常に限られな中、
惹かれあいながらも距離を図るもどかしさと、惹かれ合う瞬間でのエモーションの爆発、そして終わりへの儚さ...
本作は、そんな終わりが決まっている青春の恋愛モノとして、過不足なく素晴らしく構成されています。
前述の二部構成としたのも、前編ではその要素を全面に出す為で、その選択は大正解なのではないでしょうか!?


そんなプロットは、男性と女性の異性間恋愛に置き換えても成り立ちます。
というより、それが普通のアプローチだとおもいます...
それこそ、『ビフォア・サンライズ』のように。

しかし、本作のような強烈かつ爽やかな印象を残せるかは話が別です。

本作は、男性たる行為や、男性同士のベットシーンなど、多くの描写が恋愛の本来の姿を生々しく捉えており、非常に大きなインパクトを与えます。
グァダニーノ監督の離れ業は、それを「どう」映すか。
[ティモシー・シャラメとアーミー・ハマーの奇跡のハーモニー]、[青い空、青い湖の北イタリアの風景]、[人物造形や風景とマッチしたピアノ音楽]、そしてそれらを丁寧に丁寧に紡ぐ事で映像から煌びやかさが浮き上がってきます。

生々しく素手で絞った、フレッシュな果汁のような...
刹那の恋愛の青々しい美しさと、男性間だからこそのインパクトを両立した、凄まじいバランスの映画なんです!


そして極め付けは、ラストのある人物の言葉。
詳しくは書きませんが、喜びも痛みも苦しみも全てを否定する事を否定する言葉が、[君の名前で僕を呼んで]と彼が言った真意と重なり、この映画のラストとして映画を1段も2段も深いものにします。
思い出すだけでも、涙が込み上げてきた...

最高な劇場体験ありがとう!!

続編、楽しみだぁ!!!







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  1. 2018/05/22(火) 00:04:08|
  2. 2018年公開映画
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  4. | コメント:0

全力で予想!アベンジャーズ 4(仮)の展望

全力で予想!アベンジャーズ 4(仮)の展望

当記事には、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレが含まれます。ご注意下さい。


『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(ネタバレ無しレビューはこちら)公開から2週間。

全世界で記録的大ヒットを爆進中な本作ですが、世界中のみなさんと同じで、私自身もあの衝撃のラストに面を食らっていました。
これ程呆然とさせるまでの世界観を築いたMCUは本当凄いな...と、そして凄い瞬間に立ち会ってるなと、ゴールデンウィークがあけた今尚、興奮状態にあります。

色々な人の今後の展望の予想を見る中で、あのラスト含めた様々なシーンの持つ意味を、現実の事情も含めたメタ的な視点から考察すると、非常に大胆かつ当てている気がしてならない展望が見えて来ました!


以下、大胆解釈


1.生き残ったメンバー
ヒーローの大半が死んだ本作。

生き延びたと(みられる)メンバーは、
アイアンマン
キャプテン・アメリカ
マイティ・ソー
ハルク
ブラック・ウィドゥ
(ホークアイ?)
ローディー
ゴミパンダ
ネヴュラ
(アントマン )


死ぬのは、アイアンマンか?キャップか?なんて予想して盛り上がってたのが、恥ずかしい...

それは置いておいて、一つ気づかないだろうか?



アベンジャーズのメンバー全員いるじゃん!?

もう一度アベンジャーズ のメンバーによる大団円が楽しめるーなんて、予想は非常に安直。

ここでの意味合いは、また後に出てきます。


2.『キャプテン・マーベル』登場!
さて、アベンジャーズ 4までに公開される映画は2本あります。
『アントマン&ワスプ』(8月)と、『キャプテン・マーベル』(来年2月?)。
その中で、前者はまた後で触れるとして、ここでは後者『キャプテン・マーベル』に触れます。


『キャプテン・マーベル』で分かってる事と言えば、ブリー・ラーソン主演の女性ヒーロー物であるという事。
そして、90年代という舞台設定で、ニック・フューリーが出演する所まで明らかになっています。

ニック・フューリーといえば、S.H.I.E.L.D.長官で、「アベンジャーズ計画」の中心人物。
おそらく発案者であると考えられています。

そんな彼が登場するという事は、『キャプテン・マーベル』内で、未だ明かされない「アベンジャーズ 計画」のきっかけが、何らかの形で描かれるのではないでしょうか。

そんなニック・フューリーは、『アベンジャーズ /インフィニティ・ウォー』(以下IW)のエンドクレジット後にようやく登場し、束の間で消えてしまいましたよね...
(例の捨て台詞を最後まで言えないのが最高!)

そのシーンで、彼がある人物にポケベル?で呼び出しをかけたのを覚えていますか?
それこそが、ロゴから分かるように、キャプテン・マーベルだったわけです。

ここで、一個疑問が。
何故、これまで数々あった地球の危機に、90年代から生きるキャプテン・マーベルが駆け付けなかったのか?

答えは一つ、
キャプテン・マーベル、そしてニック・フューリーは、サノス到来、そしてこのタイミングこそが、彼女の力が必要になる危機だと知っていたからです。


3.未来と過去を繋げられる存在
では、何故ニック・フューリーが彼女の力が必要になるタイミングを知っていたのか?

『キャプテン・マーベル』内で宇宙人の到来があって、そこで予告されて、キャプテンマーベルを温存していた...なんて可能性も否定できません。

ですが、それでも出し惜しみする理由がありません。

彼女が初登場する、タイミングこそ大事だったに違いない。

だとすれば、こうは考えられないでしょうか?

時間を飛べる人物が、その事実を知らせに来たとすれば?

いるじゃないですか、ドクター・ストレンジが。


そういえば、ストレンジは1400万通りある未来から、唯一の勝つ道を見出してましたよね。

唯一の勝つ道で、半数が死んだ後に突如登場してキーマンとなるのがキャプテン・マーベルである事を、過去のニック・フューリーに伝えていた

そう考えると、納得が出来ないでしょうか?


4.アベンジャーズ 計画とは!?
ここで、ようやく一つの核心に触れます。

ストレンジが観た勝つ未来で、それ以外にも大切な事実を確認してるはずです。
唯一の勝つ道で、戦ってるのは誰か。

ここで、最初の「アベンジャーズ 」のメンバーが全員生き残ってる事実に戻ってみます。

冷静に考えて...
そんな偶然おかしくないだろうか?

という事は、
彼らが生きる事は決まっていた?

生き残り、サノスを倒すメンバーを「アベンジャーズ 計画」と題して、来たる決戦に向けてニック・フューリーがスカウトしていたとしたら?


そういえば、アベンジャーズの意味は、復讐者や仇討ちをする者って意味だよな...

この未来を見据えたネーミングと捉えても、違和感ないですよね。

5.『アベンジャーズ4』の前半
ここまで、作品の裏側や真相を紐解いた訳ですが、ここからはアベンジャーズ4で起こる出来事を予想します。

まず、あえてこのタイミングで公開となる『アントマン&ワスプ』が気になる所。
IW以後を描く事は考えにくいので、舞台はIWと同時進行でしょうか。
つまり、『アントマン &ワスプ』のラストが、IWのラストと繋がってると思われます。

ワスプはともかく、IWで出番のなかったアントマンがアベンジャーズ4前に消えてしまう事はないでしょう。
つまり、アントマンは『アベンジャーズ4』にて、何らかのキーマンになると思われます。

もう一つ、IWの中でキャップのこの言葉を覚えてますでしょうか?
「命に大と小もない」
大勢の為に一人の命を捨てないというのが、IWの隠れたテーマになっていました。

つまり、半数が死んだ状態でハッピーエンドはあり得ない。

また、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『スパイダーマン』の続編が決まってる事からも、少なくとも彼らは死んだ状態でいる事は無いはずです。

前述の事が全て正しく、彼らはちゃんと死んでるとすると、時間を戻すしかない。
時間を戻す唯一の方法は、サノスが持つガントレット。
つまり、前半はガントレットを奪う戦いになるはずです。

でもそもそも
あのサノスをどうやって倒すの?

もちろんアベンジャーズの面々やキャプテン・マーベルも活躍するでしょうが、まだ大きな切り札が隠れています。

全ての概念を無効化する、アントマンの量子の世界(quantum realm)に持ち込めば、勝機はあるはずです。


そこでの、ガントレットを文字通りavengeするのが、前半の山場になるのでしょうか。

そして、もし時間を戻して二周目に突入するのであれば、過程は全く違えどそれは原作に存在する展開をちゃっかりなぞる事にもなります。


6.『アベンジャーズ4』の後半
ここまで来て、唯一決め手がないのが、アベンジャーズ 4がどの様に幕を閉じるのが。

一応、この作品がシリーズのひとまずの終着点と言われてますし、アイアンマンやキャップの契約も切れます。

ですが、まだIWであえてやってない事が2つあります。
・ピータークイルの地球への凱旋。
・ヒーロー全員による大団円。

確実に言えるのは、
ヒーロー全員が連携して立ち回りながらサノス軍と戦うという、アベンジャーズシリーズの醍醐味を映画史に残る最大規模で魅せてくれるはずです。

そんな馬鹿みたいなクライマックス戦を見たいな...と思いながら、予想はここで終わりにします。

如何でしょうか!?
結構自身はあるけどな~


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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2018/05/10(木) 20:11:17|
  2. 2018年公開映画
  3. | トラックバック:6
  4. | コメント:0

65『パシフィック・リム アップライジング』感謝感謝

おかえり!イエガー!

パシフィック・リム アップライジング』



~あらすじ~
巨大兵器イェーガーを駆使する人類とKAIJUたちとの激闘から10年。今は亡き英雄ペントコストの息子でイェーガー・パイロットとしての活躍を期待されていたジェイクは、環太平洋防衛軍(PPDC)を去って違法なイェーガーのパーツ売買を行っていた。だが、戦地からイェーガーのパーツを盗んでいたアマーラと共に逮捕され、PPDCのパイロット養成施設へ送られる。そこで彼は義姉のマコ(菊地凛子)に命じられ、イェーガー・パイロットの候補生の教官を務めることになる。
(シネマトゥデイ引用)







☆☆☆☆☆☆(65/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
2013年に公開されて、カルト的人気を博したロボット怪獣映画『パシフィック・リム』の続編。
日本カルチャーへのラブレターであった前作ですが、特に日本ではヒットせず...(寂しい限りです)
代わりに何故か中国で大ヒットした事もあり、続編が決定。
前作の監督を務めたクリエィティブオタクことギレルモ・デル・トロから、今作は「スパルタカス」や「Marvel デアデビル」を手掛けたドラマ畑から長編映画に初挑戦となるスティーヴン・S・デナイトさんへ。
この方も、かなりのオタク魂を持った方みたいですね!


名実ともに世界的にオタクとして認められてるデル・トロ監督の後任って、めちゃくちゃ可哀想な状況ですよね...
ですが、そんな中で前作から進化した所は確実にあります。

本作で登場すると日本ラブなロボット イェガーの戦闘シーンは前作以上に多種多様。
特に前作の不満ポイントであった、昼のバトルシーンの少なさは解消していて、しっかり明るい中で見せきってくれるのが最高ですよね。
また、クライマックス線の馬鹿みたいなバトル展開は爆笑しながらも、めちゃくちゃ上がりましたよ!
しかも今作のクライマックス戦は日本が舞台!
日本のカルチャーなのに、日本では予算や技術的に実現不可能...そんなジレンマを解消してスクリーンで実現してくれる、それだけでもう感謝が溢れ出てくる訳です。

また、前作との違いとしてはティーンエイジャー物としての要素が非常に強くなっています。
ブレストファスト・クラブや昨今ではパワーレンジャーのような...もっというと日本版戦隊物に近いバランスの、ジュブナイル物としての魅力がある映画になっています。
この辺り、監督のデナイトさんが持ち込んだ要素ではないでしょうか。

しかし、このジュブナイル的な要素を、元からあるパシリムの根幹に接続して物語に落とし込んでいく過程が、極めてうまくいってない...
あまりにも状況が変化していく描写が雑すぎないだろうか。
本当に地球規模の防衛軍なの?彼や彼らがその立場になるって...何故?
たしかに前作も決して話運びが上手い訳ではありません。
けども一番大切な要素、観客に世界観を納得させる為に必要な所は重点的に抑えていました。
それに対して、今作は楽しさよりも「そんな設定、世界観は有り得ないだろ...」という世界観に対する違和感の方が先行してしまうような穴のあき方になっています。
その結果、スクリーンに映るアクションの派手さ以上も以下もない、薄っぺらい映画になっているのが本当に残念です...

でもね、感謝が心から浮かび上がる所は多くあるんですよ。
今作のイースターエッグにも楽しませてもらいました!
憎みきれない映画です!



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  1. 2018/05/07(月) 10:09:16|
  2. 2018年公開映画
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  4. | コメント:0

75『レディ・プレイヤー1』カルチャー愛と正しい使い方

思わず...天才かよ!?
スティーヴン・スピルバーグ最新作!

『レディ・プレイヤー1



~あらすじ~
2045年、人類は思い浮かんだ夢が実現するVRワールド「オアシス」で生活していた。ある日、オアシスの創設者の遺言が発表される。その内容は、オアシスの三つの謎を解いた者に全財産の56兆円とこの世界を与えるというものだった。これを受けて、全世界を巻き込む争奪戦が起こり……。
(シネマトゥデイ引用)








☆☆☆☆☆☆☆(75/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
名実共にトップに居続ける映画監督、スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作!
本作と『ペンタゴン・ペーパーズ』、全く毛色の異なる2作をほぼ同時に制作していたとか、天才かよ。

本作の原作となるのはアーネスト・クラインの11年刊行の小説「ゲームウォーズ」。
2045年を舞台に、仮想ネットワークシステム「オアシス」での遺産争奪戦を現実とVR世界を交えて描きます。
主人公を演じる『MUD マッド』のタイ・シェリダンを中心に、オリヴィア・クックやマーク・ライランス、サイモン・ペッグ、森崎ウィンらが共演します。


本作は、いわゆる二重構造で物語が進行していきます。
これでもかと80年代ポップカルチャーへの愛に満ちたVR世界と、そのゲーム世界に全てを吸い取られたディストピアな現実世界が交差する物語です。

その中でも、間違いなくこの映画の豊かさと直結し、あまりに豊かすぎて全てに言及出来ないのがVR側の世界観。
創設者がゲーム内に残した秘密=イースターエッグを探すのが本作のプロットですが、この映画にとってのイースターエッグ=ポップカルチャーのオマージュが満載で、一度じゃ決して処理出来ない!
キャラクターを装備してVR世界で登場人物達がゲームをプレイする訳ですが、だからこそ何でもありで、「札束でほっぺたをぶん殴られ続ける」(byセルジオ石熊さん)ような映画です。
デロリアンやジュラシックパークを始めとしたスピルバーグの世界は勿論、ガンダムにチャッキーにAKIRAにスト2、バットマン、メカゴジ、アイアン・ジャイアントにシャイニングとやりたい放題が最高なんです。
(原作ではスピルバーグ作品をど真ん中に据えていましたが、そこは自重した模様。)


そんな見栄えに加えて、スピルバーグが本当に描きたかったのは、現実社会との交差の部分でしょうか。
多層的な追いかけっこにバレるの?バレないの?サスペンスとしての面白さが担保されるのは勿論、バーチャル空間と現実の境界が曖昧になった近未来という設定が物語的テーマと一致。
ラストでは、ある意味これまで私達に映画を通してスピルバーグが与えてきたカルチャーの、現実空間での正しい使い方をレクチャーするという、グゥの根も出ないメッセージに辿りきます。


冒頭の音楽も最高で、キャラ同士の交差に上がる場面も多くありました。
ただ、周りの反応ほど上がらなかったってのが少し正直な所。
ハードルを上げすぎた事に加え、劇中劇つまりは映画内でのバーチャル空間でのオマージュに終始し、ただのアバターのコスプレ合戦で結局何でもありじゃんって冷めた目があったのかもしれません。
ストーリー上必然なオマージュは最高に上がりましたが!


という感じの私のテンションでございます。

勿論、劇場で見ないと価値が半減するタイプの映画ですので、
是非劇場で見てください!!





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  1. 2018/05/06(日) 14:15:31|
  2. 2018年公開映画
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85『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ネタバレ無しで

今年一番の注目作?

いや、21世紀最大の注目作!!
ネタバレは勿論、ストーリーも出来る限り触れずにレビューします。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』



~あらすじ~
それぞれ異なるパワーを持つインフィニティ・ストーンが六つそろうと、世界を滅ぼせるほどの力が得られるという。アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)、スパイダーマン(トム・ホランド)らアベンジャーズはほかのヒーローたちと共に、インフィニティ・ストーンを手に入れようとたくらむサノス(ジョシュ・ブローリン)に立ち向かうが……。(シネマトゥデイ引用)









☆☆☆☆☆☆☆☆(85/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)

遂に観ちゃいましたよ。
観た側の世界に来ちゃったんだよ...もう観てない世界には戻れない!!
他にレビュー作品溜まってるんですが、すっ飛ばしてこちらをレビューします。

マーベル・シネマティック・ユニバースことMCUのなんと18作目にして、かつてない数のヒーローが集結するアベンジャーズ三作目のインフィニティ・ウォー。
この三作目と来年公開の四作目が、間違いなく、間違いなく!10年かけて築いたこの世界観の集大成となる作品です。

これまでのヒーローアッセンブルなアベンジャーズ2作品とは、ハッキリと規模も、作品と立ち位置も違います。
アイアンマン、キャプテンアメリカ、マイティーソー、ハルク、ガーディアンズオブギャラクシー、スパイダーマン、ドクターストレンジ、ブラックパンサーなどなどなど...一作一作は独自の色を持つクオリティの高い作品を連発しながら、同時にMCUという同一の世界観を成り立たせて来たマーベルの凄まじさ。
そんな映画史上類を観ない凄まじい17作品自体が、本作へ向けて世界観を構築する為の手段とも取れるような、歴史的到達点となるのが本作です。

正直こんな背景の部分だけで数時間は話していたい...そんな今世紀最大のお祭り映画の監督を務めるのは、アンソニー&ジョーのルッソ兄弟。
アメコミ映画にポリティカルサスペンスを持ち込んだ傑作『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』や、アベンジャーズ2.5とも言われるヒーローの内戦を描いた『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』といったMCUの重要な転機となる2作監督し、キャプテン・アメリカを中心とした地球におれるヒーローの世界観を確固たるものにした監督です。

アベンジャーズ過去二作を担当したジョス・ウェドン監督は、アクションの交通整備力が抜群で、そこに特化した『アベンジャーズ』は大傑作でしたが、より複雑なヒーローの葛藤を持ち込んだ『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』では背景の語り口が発散気味でした。
対して本作のルッソ兄弟は、アクションの躍動感という意味では後退しますが、ストーリー全体の交通整備力が抜群で、より多くのヒーローを交えないといけない本作では打ってつけの人材ではないでしょうか!?


本題に入ると、今作のヴィランはマーベルコミックス最強にして最恐のサノス。
ぶっちゃけラスボス。
どんな奴かと言えば、ハルク以上のパワーとスパイディ以上の俊敏性に、アイアンマンやバナー博士以上の頭脳を兼ねそ耐えた、宇宙最強の生物。
過去のMCUにも幾度か登場、『アベンジャーズ』でロキを地球へ送り込んだり、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でガモーラの憎父としてなど、常に舞台の裏側で存在し続けますが、今作で満を持しての全面参戦になります。

揃えると世界を掌握できる6つのストーンを狙っていたサノスにとって、ソーの父で神オーディンが、ピータークイルの父で天界人エゴが、ストレンジの師匠で地球の守護者エンシャント・ワンが消えた今、最大最高のチャンスなんですよね。

そんなサノスが登場する冒頭から衝撃的。
これまでのMCU作品とは全く異なる雰囲気で幕を開けます。
サノスの存在感を一発目でガツンとわからせる必要がある訳ですが、そのシーンが普通の映画だと完全にルール違反。
そしてそんなルール違反が、この映画では連続して展開していきます。

爆笑と興奮の連続な「あのキャラ」と「あのキャラ」の会話の応酬。
最高に上がる異業種チーム連携アクション。

これらは決して二次創作的な楽しさではありません。
そして極め付けは、一大アクションシーケンスと、そこからのラストの展開。
どう考えても、普通の映画の物語的道理からは外れています。
なのに、観ている側はそれをあらゆる感情を持って「事実」として受け取る事ができるのです。


何故そんな事が可能なのか...
一重にこの二つに尽きるのではないでしょうか。
①10年以上かけて築いてきたMCUの世界観がファンの中で完全に住み着いている。
② その世界観の活用、そこからの変化を作り出す構築・演出、ストーリーの交通整理が神がかっている。


MCUの世界観を既にリアルなソレとして受け入れてる層が、いかにその世界のウネリを体験するか...
更に掘り下げようとして発散したエイジ・オブ・ウルトロンの二の足を踏まず、
アベンジャーズの醍醐味であるこの部分に集中砲火したこの判断は間違いなく大正解。
それを、ルッソ監督による「膨大な作品背景やキャラクターを繋ぎ、分岐させ、また繋いで一つの作品を紡いでいく」パズルのような交通整備的物語の構成で、本当心地よく物語がどんどんうねっていってくれるのです!

ある者は、この映画の面白さは過去のリソースを活かす事しかしてないと批判するかもしれません...
でもね!
過去の膨大なリソースの活用にフルでアクセルを踏んで、嘘じゃない事実の映画として全キャラ損をさせずにワクワクさせるって、めちゃくちゃ凄くないだろうか!?

近いのは「次のページに何が起こるのか...」という、アメコミ的で漫画的な楽しさ。
異なるストーリーを持ったキャラクターを交差させ、次に何が起こるかをワクワクさせる。
これは、長い時間をかけて世界観を作ったMCUしか出来ない事で、映画でその次元に来たことが驚愕で、万年に一つの作品と思っています。


正直、この映画はどういうスタンスで映画を観るか、どのくらいこの世界観に現実味を持って観ているかで、大きく賛否が変わると思ってます。
世界観に入り込み、物語のウネリを楽しむには非常に良くできています。
一方で、メッセージ性や一本の物語の構成としては凡庸です。

前者の視点でも、ソーの前作の成長の扱い方とそれ故の彼の行動の冗長感とか、ソウルストーンのある人物を描く為のとってうけた感じとか...
正直不満は何ヶ所かありますが、そんなのALL RIGHT!!!


サノスが「継続は力なり!!!!」と言いながら観客に殴りかかってくる。
そんな10年間の重みを2時間半で一気に解放してくる、間違いなくクラシックとなるこの作品。
今から過去17作全部振り返ってでも、リアルタイムで観ていただきたい!

まだ彼と彼があっていない。彼が地球に降り立っていないとか...
ラストカットの意味とか、今後のマーベル作品や、メタ的な契約の視点も含めてラストの解釈で色々思う所があるので、気になる方はツイッター(@n8cinema_jump)の方にメッセージ下さい!笑

キャプテン・マーベル、アントマン&ワスプ、そして来年のアベンジャーズ4(原題)含めて、超楽しみ!
まだまだ死ねないな~






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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2018/05/01(火) 10:13:34|
  2. 2018年公開映画
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