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劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

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85『バーニング 劇場版』複数の解釈に対しての奥行き最高

村上春樹原作×イ・チャントン最新作!

『バーニング 劇場版』



~あらすじ~
小説家を目指しながらアルバイトで生計を立てているジョンス(ユ・アイン)は、幼なじみのヘミ(チョン・ジョンソ)からアフリカ旅行へ行くのでペットの猫を預かってほしいと頼まれる。帰国したヘミに旅先で出会ったベン(スティーヴン・ユァン)を紹介されたジョンスはある日、ベンに秘密を打ち明けられ、恐ろしい予感が頭から離れなくなる。
(シネマトゥデイ引用)









⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎☆
(85/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○まずは作品について

『シークレット・サンシャイン』や『オアシス』、『ポエトリー アグネスの詩』などで世界的評価を得ているイ・チャンドン監督の最新作!

そして原作は...
まさかまさかの村上春樹!
短編小説の「納屋を焼く」の映画化になります。

実は本作は、NHKのプロジェクトでスタートしま物で、先日53分カット版が放映されていました。
(残念ながら見損なってしまった...)

主演を務めるのが、人気俳優のユ・アイン。
人気ドラマ「ウォーキング・デッド」のスティーヴン・ユァンや、新人女優のチョン・ジョンソが共演しています。

去年のカンヌ国際映画祭で、『万引き家族』とパルムドールを競った本作。
一部レビューサイトでは、カンヌ史上最も高い評価を受けるなど、世界中で大絶賛されている事もあり楽しみに観に行きました!





○ここから感想(ネタバレなし)

日の目を見ない生活を送る主人公のジョンスと、どこか幻想的で儚い幼馴染のヘミ。

久しぶりの再会から男女の関係になるのですが、そこに彼等とは正反対の社会的強者ベンが現れる事で、大きく歪が生まれていきます。

そんな彼等三人の言動から、明確には言い表せない不思議な違和感が序盤から膨らんでいきます。

ジョンスの何処か押さえつけている感情、ヘミの飛んでいきそうな危うさ、ベンの洗練されつつもどこかサイコスティックな原動。

村上春樹作品十八番のキャラクターへの理解出来ない違和感が、イ・チャンドン演出により明確に表現されていくのだから、序盤から間違いなく最高なんです。



そんなキャラクターの違和感が、明確な謎と空白へと徐々に変貌していきます。

[何故ヘミは消えたのか?]

[ベンが言う「ビニールハウスを燃やす」は、何を意味するのか?]

[ジョンスの行動は、一体?]

村上春樹作品、これらに対して当然明確な答えを提示しません。

作者すら知らない本性と真実に対して、さぁあなたは、どんな物語を見つけた?」と投げかけてきます。




本作では、そんな村上春樹のオープンエンドな結末に、イ・チャントンの解釈を加える事で、もう一歩先のオープンエンドな結末に落としています。

もう少し踏み込むと...

原作(NHK版)では、ヘミの失踪後に物語自体が進展する事はありませんでした。

真実に対してだけではなく、そこから先の全員の行動に対しても、オープンエンドになっています。

対して本作では、原作でも香る「一つの解釈」の色をより強める方向に、その後の物語が紡がれていきます。

それと同時に「彼の視点」もより強調される魅せ方になっています。

「一つの解釈」は真実なのか主観なのか...
結果的に、彼はある行動を取る訳ですが、この見え方によってラストが一体何を意味するのか、どうとでも解釈を可能にしています。

そして更に!彼が作家である事を原作以上に強調した結果、
[そもそも何処までが現実なんだろうか?]
そんな視点すらも新たに作品に加えられています。

真実か主観か。リアルか寓話か。

2×2の4通りの解釈が可能で、どの切り口であれ掘り下げが可能な細部の描き方がされているのです。




例えば、ヘミが語るGreat HungerとLittle Hunger。
これを、三者に当てはめると...
自分には、ある人物がLittle HungerからGreat Hungerになる物語に見えます。

ヘミの「そこにある事を忘れる」というセリフ。

ジョンスの、ヘミに対する記憶。

ベンが池を眺める所を見るジョンス...の現実かどうかの曖昧な映像。

時計とネコの存在。

「そうと言われると、そういう意味に見える」という描写が細部に転がっており、それらが複数の解釈に対して奥行きを生んでいきます。





村上春樹の世界観を、イ・チャンドンの作家性が広げた素晴らしい傑作!

余韻が最高で、超おススメです!!






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  1. 2019/02/21(木) 22:57:15|
  2. 2019年公開映画
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  4. | コメント:0

85『メリー・ポピンズ リターンズ』ディズニー最高のハッピーに異論なし

メリー・ポピンズ リターンズ』



~あらすじ~
前作から20年後、バンクス一家の長男マイケルは家庭を持ち、父や祖父が勤めたロンドンの銀行で働いていたが、大恐慌で経済的に苦しく、妻が他界して家の中は荒れていた。さらに融資の返済期限が迫り、家を失う危機に追い込まれた家族の前に、「ほぼ完璧な魔法使い」のメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)が以前と変わらぬ姿で現れる。
(シネマトゥデイ引用)









⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎☆
(85/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○まずは作品について

1964年に公開され、今もなお愛され続けているディズニーの人気ミュージカル映画『メリー・ポピンズ』。
当時無名のジュリー・アンドリュースがメリー・ポピンズを演じ、実写とアニメーション、映画とミュージカルという、画期的な融合のアプローチを取られたこの作品は、アカデミー賞を始め数々の賞レースを席巻しました。

そんな原作者P.L.トラヴァースが自らの幼少期の記憶を閉じ込めたこの作品は、ウォルト・ディズニーの猛烈なアプローチの末に映画化されており、その様子は『ウォルト・ディズニーの約束』(←オススメ!)で描かれています。


そんな名作から55年の年を経て公開されたのが、本作『メリー・ポピンズ リターンズ』。

時代設定は、あれから25年を経た大恐慌時代。

監督は『シカゴ』や『NINE』、『イントゥ・ザ・ウッズ』のロブ・マーシャル。
作品の出来はまちまちですが、かなりミュージカルに精通した人選です。

注目なのが、脚本を務めるデヴィッド・マギー。
『ネバーランド』や『ライフ・オブ・パイ』など、現実と空想の融合を描くのに間違いなく長けた脚本家です。

肝心のメリー・ポピンズを演じるのは、『ボーダーライン』のエミリー・ブランド。
確かな演技と美貌を兼ね備えた彼女が、どんなメリー・ポピンズを演じるのか楽しみです。

また、前作で子供だったマイケル・バンクスをベン・ウィショーが、妹のジェーン・バンクスをエミリー・モーティマーが、隣人をリン=マニュエル・ミランダが演じます。

そして勿論、マイケルの子供たちを演じるピクシー・デイヴィー、ナサナエル・サレ、ジョエル・ドーソンの三人の子役にも注目です!





○ここから感想(ネタバレなし)

いんやー素晴らしい!
ディズニー史上最大のハッピーという謳いに偽りなし。

ファンタジーと現実世界の融合といえば、『ジャングルブック』始め、あらゆるファンタジー世界の実写化によって既に有り触れた物になっています。
しかし、本作では未だかつて全く見た事のない、心踊るカットが次から次へとと飛び出してきます。

中でも最も心踊ったのが、アナログの世界感との融合です。

アナログの世界をリアル化しシームレスな現実に落とし込む...なんてのさ良くある手法ですが、本作ではアナログはアナログの良さのまま実写の世界観と融合して見せてるのです。

「二次元の世界へ我々が入っていく...」
そんなシーンが代表する実写へのアナログアニメーションの融合。
それだけでなく、ミュージカルシーンも敢えて「これぞミュージカル!」な演出をそのまま残して実写の世界へ落とし込んでいます。

それによって非現実が際立つことで、終始画面いっぱいの多幸感に満たされてました。

勿論これは、初代『メリー・ポピンズ』同様ですが、当然の事ながら本作がよりビジュアル面で格段に洗練されています。




そんな映像表現と音楽に対して、乗せられる言葉1つ1つに人生のあらゆる教訓が詰まっているのも、一作目さながら。

あくまでメリー・ポピンズは「子供達に対して歌い掛ける」のですが、本当のメッセージはその先の大人へ。

本作の、子供達側から大人側へ帰ってくるシーンには大号泣しました!!




さらにさらに、キャラクターの魅力も抜群です。

ベン・ウィショー演じるマイケルが、本当に素晴らしく共感しっぱなし。
妻を失い、家まで...
息子からのあのカウンターパンチは、そりゃ号泣しちゃうよ。




作品全体を見渡した時の、全体コーディネートも素晴らしいなと。
冒頭の街灯を消す流れからの、終盤への展開は圧巻。

一作目のオマージュというレベルではない、映画全体の構造自体をフル活用した引用の巧みさも、素晴らしい。

構造をなぞるように見せて、物語は活かし、その先を描く...
「数十年ぶりの続編」の作品としては、旨味を活かし切ったパーフェクトな作品と思います。





心の底より、ハッピーにオススメです!!






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  1. 2019/02/13(水) 19:26:59|
  2. 2019年公開映画
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70『ミスター・ガラス』ヒーローvsヴィラン??

シャマラン監督による、シャマランユニバース!!

『ミスター・ガラス』



~あらすじ~
ある施設で、特殊能力を有する3人を対象にした研究が始まる。そこには、悪を察知する力と不死身の体を持つデヴィッド(ブルース・ウィリス)、24種類の人格が同居する多重人格者のケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)、ハイレベルなIQと94回も骨折した繊細な肉体を持つミスター・ガラス(サミュエル・L・ジャクソン)が集まっていた。
(シネマトゥデイ引用)











⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️☆(75/100)


『シックス・センス』などのM・ナイト・シャマラン監督の最新作!!

しかも只の一本ではなく、代表作の一つでブルース・ウィルス主演映画『アンブレイカブル』(2000年)の続編にして、ジェームズ・マカヴォイ主演映画『スプリット』(2017年)の続編!

『アンブレイカブル』でヒーロー誕生譚を、『スプリット』でヴィラン誕生譚を描いたシャマラン監督が、シャマランユニバースと言われる世界観の共有によって実現した夢の作品です。

これら両作品に登場したブルース・ウィルスとジェームズのマカヴォイが出演するのは勿論、『アンブレイカブル』同様にサミュエル・L・ジャクソンがミスター・ガラスとして登場します。




○ここから感想(ネタバレなし)


『アンブレイカブル』で、悪を察知する力と不死身の体に気が付き、空虚な心をヒーロー活動で埋める事に目覚めたデヴィッド。

『スプリット』で、幼少期のトラウマを埋める為に23の多重人格を形成し、絶対悪と驚異の肉体を持つ24個目の人格をも生み出したケヴィン。

更に、自身の驚異的な身体の弱さから、その対象となるヒーローとヴィランの存在を盲信するミスター・ガラス。

その三者が交差し、ヒーローとヴィランが対峙する...

シャマラン映画である以上、そんな安直な映画には当然なっていません!



早々に三者共に収監されたのは、精神科医エリー・ステイプルのいる精神病院。

彼女は「自分には特別な力がある」と信じている患者を専門に治療しています。

ヒーローの存在、ヴィランの存在、スーパーパワーの存在。

否定する精神科医と、主張する三者。

ヒーローであるデヴィッドにとっては、心の穴を埋めてきた自身の力を肯定する物であり、
ヴィランであるケヴィンにとって、自身のバランスを保つ24番目の人格を肯定する物。

そしてそれは、自分の存在理由を見出す為のミスター・ガラスの主張そのものです。
つまりこの映画は、ミスター・ガラスの生涯をかけた主張の戦いと、その結末を描いた映画になっています。


本作では確かに、見かけ上はヒーローとヴィランが闘いになっています。
しかし、実態はヒーローとヴィランが共に特別な力の存在有無に対して闘いを挑む所にストーリーが存在します。

この普遍的な論点の設定ではなく、キャラクター目線での論点の設定にこそ、超歪なシャマランワールドであり、本作も魅力にもなっています。


この歪さが上手くハマってる作品もあれば、そうでない作品も多いのがシャマラン作品。
『アンブレイカブル』も『スプリット』も非常にハマっており、大好きな作品でした。

しかし、本作はストーリーデリングのバランス上、ノイズが目立ってしまっています。

最も顕著なのが、前半パート。
「既に能力を見ている」我々としては、精神科医の主張が稚拙で、説得力が無く感じてしまうのですが、その時間が余りに長くしつこい事。
これは、結末の「ある展開」とそれにのり前述の論点を強調する事に役立つのですが、前半パートでは苛立ちしかありませんでした。

また、ヴィランであること=存在理由ではない、絶対悪ケヴィンを、今作の論点に乗せるのはあまりに弱く、違和感を感じてしまったのは私だけでしょうか...



なんて、不満はあれど、
十二分にシャマランワールドを楽しませてもらった作品でした!!





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  1. 2019/02/06(水) 08:03:15|
  2. 2019年公開映画
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65『十二人の死にたい子どもたち』死にたい理由と死ねない理由

猟奇サスペンスではなく、若者達の叫び!

『十二人の死にたい子どもたち』



~あらすじ~
それぞれの理由で安楽死を望み、廃病院の密室に集まった12人の少年少女は、そこで死体を見つける。死体が何者で自殺なのか他殺なのか、集まった12人の中に殺人犯がいるのか。やがて、12人の死にたい理由が明らかになっていく。
(シネマトゥデイ引用)









⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️☆(65/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○まずは作品について

「天地明察」や「マルドゥック・スクランブル」シリーズの人気作家、冲方丁による2015年刊行の同盟小説の映像化。
SF作家としても知られ、最近は「攻殻機動隊」シリーズなどのアニメ映画の脚本を担当する事が多かったのですが、実写映画としては「天地明察」以来の冲方丁原作の映画になります!

冲方丁さんの原作小説は勉強不足なんですが、その「天地明察」が中々の良作だったので、本作も楽しみにしています。

そんな本作の監督を務めるのは、「TRICK」シリーズや「人形の眠る家」なとの堤幸彦監督。
年1本以上のペースで、アクション・サスペンス・ドラマまであらゆるジャンルの大作を量産するヒットメーカーです。

あくまで個人的な印象としては、面白くなくはないけども、いわゆる作家性が弱く、どの映画も心の奥底にまでは入ってこない...平均点な映画が多いと感じています。

肝心の十二人の子供たちを演じる十二人のですが、これがまた豪華で若手俳優の見本市になっています。
杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙など...
楽しみな面々が揃っています!




○ここから感想(ネタバレなし)

12人全員が同意したら、自殺が決行される。
そんな何ともめんどくさいルールで集まった自殺願望のある12人ですが、いつの間に謎の13人目の死体が!?

これからどんなサイコスリラーな展開が!?
と思いきや、その手の映画になっていく事はなく、寧ろ非常に丁寧な人間ドラマが展開されていきます。

12人いれば、それぞれ死にたい理由が異なる。
そんな中に謎の死体が出た事によって「直ぐには死ねなくなった人」「早く死ぬ必要が出てきた人」という両極の死への想いが、映画を動かし始めます。

死ぬという一つのベクトルに向かっていたはずの12人が、その理由の違いと一つの死体により生まれ始めた亀裂。

じゃあ、それぞれのベクトルが全く別かと言われるとそんな事はなく、ある人物の死にたい理由の告白が、その反発として別の人物の死にたい理由の告白を呼び起こす。
そんな状況があぶり出されていく過程と、そこから十二人十二様の社会に対する若者の叫びが響き渡る転換は脚本の妙が効いて、非常にエキサイティングでした。

この多様な思考の故のぶつかりと反論が、一つの真理を浮かび上がらせる会話劇の魅力は、『12人の怒れる男』や『12人の優しい日本人』のソレに近く、非常に期待が膨らむものでした。


しかしエンターテイメントを重視した映像化するにあたって、この映画の大きなウエイトを稚拙なトリックを素人学生が明らかにするというサスペンス側によってしまっています。

またそもそも、この題材の決定的にノイズになる要素なのが、「そんなに早く死にたいなら、一人で死ねば良いのに」というツッコミをせずにいられない点です。

たしかに、上手くそのツッコミを回避する「死にたい理由」を持つ人物も何人かいるのですが、そうでない人もチラホラ。
(このストレスを原作は如何に回避してるのか...興味があります。)

そんな全面に出た稚拙なサスペンスと、そもそもの題材の致命的ストレスが、多様な思考の故のぶつかりが一つの真理を浮かび上がらせる旨味に対して、ノイズにずっとなっているのが残念でした。



そんなノイズを凌駕しうるのが、役者陣の素晴らしさ。

役者陣は、スクリーンに映える役者さんばかりで、素晴らしかったです!!





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  1. 2019/02/06(水) 08:03:03|
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