『ザ・スーサイド・スクワッド "超"悪党、集結』

~あらすじ~
クレイジーなハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)、最強スナイパーのブラッドスポート(イドリス・エルバ)、敵をチーズに変える能力を持つポルカドットマン(デヴィッド・ダストマルチャン)ら凶悪な犯罪者たちを集め、特殊部隊が結成される。彼らは成功すれば刑期短縮、失敗すれば即死、命令に背けば首に埋め込まれた爆弾で殺されるという命懸けのミッションに挑む。(シネマトゥデイ引用)
8/10★★★★★☆☆☆
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
スーパーマンやバットマンを主要キャラに抱えるDCコミックス。そのDCコミックスの悪役だけを集結させたチーム「スーサイド・スクワッド」の活躍を描く第二弾の映画です。(前作の『スーサイド・スクワッド』から繋がりはなし)
監督と脚本を手掛けるのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズや『スーパー!』でお馴染みのジェームズ・ガン。代表作である『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を手掛けるディズニー傘下MCUが彼の過去の差別発言を問題視して解雇した所、ライバルのDCコミックスに拾われる形で本作のメガホンを取る事になりました。(その後MCUにカムバックする事が決まる)
『ハーレイ・クイーン』を演じるのはその為DCコミックス同様にマーゴット・ロビー。『パシフィック・リム』などのイドリス・エルバ、『ロボコップ』などのジョエル・キナマン、『バンブルビー』などのジョン・シナなどが、個性的なチームメンバーとして出演しています。
これこれ、こんな決死部隊の活躍が観たかった!
ジェームズ・ガン監督の「らしさ」であり作家性と言っても良いのが、「尖らせまくった過激なゴア描写」と「色鮮やかで、バカバカしくて、超ポップな描写」の二刀流的な使い方で、それらをチューニングする類稀な映像センスにより「キャラクターがめちゃくちゃ立つ」映画に仕上げる天才だと思っています。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ではディズニー傘下の映画という事もあり、かなり前者の悪趣味要素ってのは抑えながら、後者を全面展開する事によって超絶楽しい映画になっていましたが、本作に関してはジェームズ・ガンの全ての映画的嗜好を、スーサイド・スクワッドという悪役大集合の格好の食材を使って、全ベクトルに垂れ流しながら、超絶ハイセンスで最高に面白くまとめた作品になっています。
どういう事かというと、やっている事ってめちゃくちゃ過激。冒頭からど真ん中の戦争映画かってくらい悲惨な展開があったり、しっかり人体の破壊描写があったり、単体で見ると凄い尖った悪趣味な描写なんだけど、何故か全く嫌な気にはさせない。(それどころか楽しい!)
そこには、常に何処か「バカバカしさ」みたいな物が一緒にあって、それが全面に出てきているシーンもあれば、薄っすら感じさせるシーンもあったり、そのバランス感覚と表現する映像センスが絶妙で、過激な事が起こっている筈なのに超楽しいシーンがひたすら続いていく映画になっています。
そして何より、本作には愛すべきキャラクターが沢山いるんです。そこには前作みたく無駄なキャラ掘り下げ&かったるさは無く、アクションや軽快なやり取りの中でキャラクターが掘り下げられており、「どのキャラクターが好き?」って会話で充分楽しく語れるくらい、魅力的なキャラクターに溢れています。
また、そんなキャラクターのストーリーへの活かし方も抜群です。「死ぬから上がる」キャラもいれば、「応援して上がる」キャラもいたり。中でもラストの「大ボス」との決着の付け方とそこでのキーマンの置き方が最高で、最下層からの突き上げ的な所にめちゃくちゃグッときました。
どのキャラクターをどういう風に見せ、どんなストーリーに乗せ、どう観客を楽しませたいかってのが、全てハマってるんですよね。
また、映画自体の見せ方も手が混んでてフレッシュです。本作では主役っぽく描かれるキャラクターが転々と変わる珍しい描かれ方をしていて、過激な戦闘シーンな奇想天外なキャラクターの行動と相まって、「誰が死ぬか分からない」サスペンスとしての楽しみにも満ちた映画になっています。
そもそも細かい所をシノゴの言わずに映画に放り込まれる導入から最高だし、それを良い意味で裏切られテンションブチ上がり。
リアリティ無視のデフォルメ演出(特にハーレクインのはっちゃけ!)もキレッキレだし、何よりラストのGotGばりのおバカで上がる決着が最高。
一つ一つのシーン、一人一人のキャラクターが大好きになる映画。
是非見ていただきたい!オススメです!

