青春映画の金字塔完結!
『ちはやふる 結び』

~あらすじ~
瑞沢高校競技かるた部員の綾瀬千早(広瀬すず)と若宮詩暢(松岡茉優)が、全国大会で激闘を繰り広げてから2年。真島太一(野村周平)、綿谷新(新田真剣佑)らと共に名人・クイーン戦に挑む千早だったが、詩暢と戦えない自分の実力不足を痛感する。そんな中、千早たちの師匠・原田秀雄(國村隼)が史上最強の名人とされる周防久志(賀来賢人)に敗れてしまい、新が彼に挑戦状をたたきつける。その後3年生になった千早は、高校最後の全国大会に向けて動くが……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆(95/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
漫画雑誌BE・LOVEで人気連載中の同名漫画の実写映画化で大成功した2016年の『ちはやふる 上の句』『ちはやふる 下の句』の二部作。
当初は二部作の予定も、各方面からの絶賛&予想以上の成功により、公開と同時に企画発表されたのが、シリーズ完結篇となる今作の『ちはやふる 結び』。
監督は全2部作と同様に、『タイヨウのうた』や『カノジョは嘘を愛しすぎた』の小泉徳宏さん。
今作も千早を演じる主演の広瀬すずはじめ、野村周平や新田真剣佑、松岡茉優、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希など前二作で素晴らしいハーモニーを奏でた役者陣が勢ぞろい!
加えて瑞沢高校カルタ部に入部した新入社員を佐野勇斗と優希美青が、圧倒的な強さを誇る名人を賀来賢人が、千早の新たなライバルとなる新星を清原果耶が演じるなど、更に多くのキャラクターを巻き込んで、『ちはやふる』が結ばれていきます。
競技かるたシーンの躍動感など、上げればキリがない「ちはやふる」シリーズの素晴らしさですが、一番のらしさといえば、あらゆる要素が螺旋常に呼応し合う所でしょうか。
例えばあるシーンと別のシーンが時空を超えて呼応して、物語のテンションを浮遊させるそんな演出が効果的に散りばめられています。
単発で見るとアニメ的に誇張されたエモさや、現実的には...というシーンが多いのですが、シーン通しの呼応のさせ方が抜群で、欠点としてどころか気持ちよすぎる長所として機能しています。
(下の句はくどく感じる所が散見してましたが...)
今作も、旧作のあのシーンから!?という驚きのシーンとシーンの結びなど、感情を爆上げさせられます。
また、キャラクターが物語を作り、物語がキャラクターを活かすという循環が常にキャラクターを魅力的にみせていきます。
それはシリーズを進めるごとに旨味に変わってく訳で、今作も前作のレガシーを最大限活用。
特にコメディ要素が過去二作以上に抜群で、独特の賑やかさを生んでいきます。
そして活かすだけでは決して終わらないのが「ちはやふる」。
新入部員の花野や筑波、名人の周防といった新たなキャラクター達もやはり、ユニークな言動で盛り上げつつ物語がそれを回収する事で、彼らもまた愛おしいキャラクターへと変わっていきます。
ストーリ的にはそれほど大きくない詩暢ちゃんや伊織も、ギャグ的なシーンとそれを活かして変化を映しだす視点がちゃんと用意されています。
大所帯となったキャラクター全員がちゃんと生きてる、誰を切り取ってもしっかりと輝いた物語がある、日本版アベンジャーズのような映画で、小泉監督は目配せの天才だと感じました。
そんな各キャラを生かす言動が、しっかりと伏線として機能して物語の展開としても重なり合いながら、大きなテーマを浮かび上がらせていきます。
高校一年の1年間を描いた過去二作に対し、今作の千早達は三年生。
部活動の集大成がある一方で、今後の人生の選択が必要になる、終わりへ向かうタイミングでもあります。
特にこれまで微かに見えていた競技かるたへの各々の動機の違いが、「太一の苦悩」として表面化し、過去二作の輝きに対する「もう無理なのか...」という消滅の予感が漂います。
でも、だからこそ!というのがこの映画の最大の醍醐味。
「時を超えて場面を受け継ぐ」百人一首。
その競技で語られるのも、そんな「一瞬の景色」が、現代に「太一と新の景色」として継承された内容。
そんな物語と呼応するかのように、一瞬を永遠に留める力を大肯定する結びへと繋がって行きます。
あの瞬間のあの手触りは間違いなく本物で、たとえ結果が伴わなくても、それは自らの中に永遠と残り続ける。
そして、さもすればその瞬間が誰かに伝播し、継承され、永遠に繋がっていくしれない。
結果よりも失ってはいけない瞬間の尊さが、気づきを得る太一や部員の成長とも直結し、それらをこれでもかとエモーショナルなアクション演出で魅せる展開に、涙が止まりませんでした。
もちろん、演出面でもさらに凄みを増しています。
斬新で迫力がある競技かるたシーンはもちろん、音楽と映像のシーンと連動した緩急が抜群で、螺旋形状にエモーションを巻き上げます。
特に、音の使い方!
無音のシーンを大勢で見守る感覚。
たまりません。
そういう意味でもこの映画は、劇場で是非見ていただきたい!
それはちょっと...やりすぎ...という演出が2ヶ所ほどあるにはあるんですが、そんなもんの5億倍最高なシーンばかり。
つまり、大好き!!
百人一首=瞬間を永遠に閉じ込めた題材を用いた、
青春=瞬間を永遠に閉じ込める可能性を描いた内容が、
映画=瞬間を永遠に残すメディアで語られ、
自分にとっても永遠に残る瞬間の体験に。
超超超オススメです!!!
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