ショーン・ベイカー監督による最新作!
『フロリダ・プロジェクト』

~あらすじ~
家を失った6歳の少女ムーニー(ブルックリン・キンバリー・プリンス)と母親ヘイリー(ブリア・ヴィネイト)は、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートの近くにあるモーテル「マジック・キャッスル」で生活している。周囲の大人たちが日々の暮らしに苦しむ一方、ムーニーは子供たちと無邪気に遊び、管理人のボビー(ウィレム・デフォー)は彼らを見守っていた。ところがある出来事を機に、ムーニーの日常は一変し……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆(85/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
全編iPhoneで撮影した『タンジェリン』で数々の賞を受賞し、世界を驚かせたショーン・ベイカー監督の最新作!
これからの映画業界、間違いなく目が離せない監督の一人です。
6歳の少女ムーニーを演じるのは子役ブルックリン・キンバリー・プリンス。
母親ヘイリー役は、インスタから抜擢したという演技初経験のブリア・ヴィネイト。
主演級二人がほぼ演技初経験の中で、名優ウィレム・デフォーが彼女達が暮らす安モーテルの管理人として脇を締めます。
ショーン・ベイカー監督の最新作で、尚且つ聞こえてくる評判が良い。
という事でハードルが上がった中での鑑賞となったのですが...
兎に角ショーン・ベイカー監督の手腕に脱帽しっぱなしの112分間でしたよ!
舞台はフロリダ、しかもディズニーワールドの側ということで、色彩が終始鮮やか。
何処を切り取っても絵になる鮮やか絵的センスに溢れています。
それでいて、驚きなのは、カメラワークは完全にドキュメンタリーのそれ。
カットオブライフな手法によって、子供達の実在感を紛れもなく本物に見せていきます。
そんなパステルカラーで彩る空間の中で、子供の日常を実在感を持って無邪気に描く。
ショーン・ベイカー監督の空間演出がたまらん訳です!
映画の構成としては、基本的には子供達目線で進行します。
それをフォローする形で、母親や管理人のシーンが挿入されます。
安モーテルでの苦しい暮らしの中、自らの世界に入っては、無邪気に遊ぶ子供達。
実際は、無邪気過ぎて周囲に取っては迷惑の連続。
最初は、「なんだこの子達は!?」とイライラして見てたんですが...
いつの間にか、そんなイライラは何処かへ。
そうならざる得ない、途方もなく巧みな構造をこの映画はとっています。
無邪気な子供達の映像の中で、
実はその裏側で起こってるリアルな出来事が間接的に浮かび上がってくる...
お風呂のシーン、木への言及、おじさんの登場...
そこにあるのは、子供達のただの日常のワンシーンに過ぎません。
しかし、それら 表層的な子供達の日常を通して状況の変化や事態の深刻さが伝わって来るのです。
更に、スーパーのシーン然り花火のシーン然り、ハッピーなシーンであればある程、その裏側の「実は」が見えてしまって...
あぁ涙が止まらない...
そして、最終的には「子供達の無邪気さ」という、ずっと映画の表層にあった仮面がどうなるのか...
技法と内容がマッチした、すんばらしい映画になってます!
加えて、大人たちの人物造形も本当に見事。
母親であるヘイリーは、母親としてダメな所ばかり。社会性も低いです。
だからといって、子供への愛情がない訳ではなく、人一倍自分の娘を愛してます。
自分で状況を悪くする彼女を、是とも非とも決めずに、優しな時点で見守ります。
管理人ボビーも、生きた人間としてリアルに描かれます。
善人である彼に対して、善にけっして振り切ることもせず、善を必ず実行出来る人間としても描きません。
人物造形の巧みさが、この素晴らしい映画に深みを与えてくれます。
ショーン・ベイカー監督の絵的センスと、表層的ではない所で語るストーリーテリング。
脱帽の連続の112分でした!!
次作が楽しみだなー
オススメです!!!
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