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70『プーと大人になった僕』実はサボる事って...

『プーと大人になった僕』



~あらすじ~
成長してロンドンで多忙な生活を送るクリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー)は、妻子と故郷で過ごすはずだった週末まで仕事でつぶれてしまう。そんなとき、少年時代の親友プーが彼の前に現れ、一緒に森の仲間たちを捜してほしいとロビンに頼む。思い出の“100エーカーの森”を訪ねたロビンは、プーやティガーらとの再会を喜ぶ。
(シネマトゥデイ引用)





⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐️⭐️(70/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)


○作品について

大人気キャラクター『くまのプーさん』がまさかまさかの実写映画化!!
つい数年前まで実写化なんて程遠いと思われていたキャラクターや物語が、良し悪しは抜きにしてこの数年であれよあれよと実写化が実現してますね。
奇想天外で漫画的な絵や世界観を、現実と地つなぎにする...特殊映像の技術革新と、演出含めた魅せ方に関するノウハウの蓄積で、まだまだ進化は止まりません。


世界中でポピュラーなキャラクターであるプーさんは、1926年にイギリスの児童小説家A.A.ミルンが生み出したキャラクターです。
作者の息子 クリストファー・ロビンに与えたテディベアより着想を得たこのキャラクターですが、最近ディスク化された映画『グッバイ・クリストファー・ロビン』でその裏側が描かれているので、是非!
そんなプーさんは、元々ディズニーの物ではなく、買収によってディズニーキャラクターに転身したのは、あまり知られていまさん。
そういえば最近、著作権が切れてパブリックドメイン化しましたね。

そんな、名実共に世界的キャラクター初実写映画化の監督を務めるのは、『ワールドウォーZ』『007/慰めの報酬』のマーク・フォースター。
ユアン・マクレガーがクリストファー・ロビンを演じ、アニメ版でもプーさんの声を吹き替えたジム・カミングスがプーさんの声を演じます。




○ここから感想!(ネタバレなし)


今作のプーさん物語は、アニメで描かれている時代がメインではなく、クリストファー・ロビンが大人になった時代が中心です。
幾多の映画で描かれるような、「大人になる=子供でなくなる」事への問いかけが物語になっています。

そんな中で、本作の実写化で非常に興味深い2点が、物語性へ関与しています。

まず一つ目が、プーさんを始めフィクションのキャラクター達のフォルムです。
同じくディズニーの『ジャングルブック』のようなリアルな姿ではなく、極めてぬいぐるみ的な作りになっています。
そしてそんな「ぬいぐるみ」だからこそ、クリストファー・ロビンが大人になる事で忘れてしまった子供時代の象徴として、抜群に機能しているのです。


もう一つが、風船とビジネス鞄が大人と子供を描く上で、キーアイテムとして登場する所です。
「幸せな気持ちになる」それだけの為に持つ風船と、なにかを運ぶ目的でしかないビジネス鞄。
これが、目の前に見える幸せを素直に求める事ができた子供時代と、一生懸命に生きる事で目の前の幸せに盲目になっている大人時代の象徴として印象に残っていきます。


そしてこの大人時代と子供時代の対比は、キャラクターへと活かされます。
家族の為という理由で、家族の時間を厳かにするクリストファー・ロビン。
一方のプーさんの言動は複雑な大人の社会では無茶苦茶な物ばかり。
しかし、どれも人間が本来求めるべき幸せや楽しさでもあります。
そんなプーさんの今を生きる言動に翻弄されながらも、忘れていた「目の前の楽しさと幸せを受け入れる事」をクリストファー・ロビンは思い出していきます。



そんな普遍的なテーマ以上に、「そうは言っても、大人は...」な要素へ踏み込んでいる所がこの作品の凄さです。

クリストファー・ロビンが家族との時間を犠牲にして追われる仕事は、他者への責任ある仕事して描かれます。
一方で、映画は「何もしない事」の価値を強調します。
これにより映画の構成として、「何もしない」では社会人として余りに無責任な印象を与え続けます。
仕事を「自己責任」の範囲に収める事も出来たのにね...

じゃあ、この映画の「何もしない」とは何なのか。

そこにあるのは、市場経済で見落としてがちな視点です。
社会全体が必死になって働き過ぎてる状況。
前述したように一従業員が目の前の課題に「何もしない」なんて責任放棄は問題外。
でも、そんな「働けば働く程儲かる」って原理で動く社会って、実は一番根っこにいる一般消費者が消費する時間を減らしてて、自分達の首を絞めてるよと。
時には「何もしない」事が景気をまわすんだよと。
社会が全体サボる事で、そこにはメリットすら生まれるんです。

「何もしない」という社会への問題提起を、普遍的な個人と家族の物語の延長線上に配置できた、旅行会社と設定の活かし方が極めて上手いなと感じました。




なんですが!
正直、このバランスがかなり綱渡りで、見終えた直後は「たまたま旅行会社だったからで、そんな何もしないなんて出来る訳ねぇだろ!!」って思っちゃってました...

あと、クリストファー・ロビンがプーと出会ってから、各キャラクターと出会うシーケンスは、少し退屈してました...

でもね!ここまで踏み込んだ上で、しっかり家族の普遍的な物語に纏めてるのはやっぱり凄いなと。
プーさん、可愛いし!!

是非劇場で見てください!






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  1. 2018/10/08(月) 00:27:09|
  2. 2018年公開映画
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