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70『キャロル』ルーニ・マーラのマーラが...

まじピンク。

今の時代のLGBT映画。
『キャロル』



~あらすじ~
52年、冬。ジャーナリストを夢見てマンハッタンにやって来たテレーズ(ルーニ・マーラ)は、クリスマスシーズンのデパートで玩具販売員のアルバイトをしていた。彼女にはリチャードという恋人がいたが、なかなか結婚に踏み切れずにいる。ある日テレーズは、デパートに娘へのプレゼントを探しに来たエレガントでミステリアスな女性キャロル(ケイト・ブランシェット)にひと目で心を奪われてしまう。それ以来、2人は会うようになり、テレーズはキャロルが夫と離婚訴訟中であることを知る。生まれて初めて本当の恋をしていると実感するテレーズは、キャロルから車での小旅行に誘われ、ともに旅立つが……。(映画.com引用)


☆☆☆☆☆☆☆(70/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

「太陽がいっぱい」や「ギリシャに消えた嘘」等、多くの映画の原作となった小説家のパトリシア・ハイスミスの小説「The Price of Salt」を元に映画化。
キャスト部門の映画賞には軒並み顔を出している事からも明白で、今作の最大の見所となるのが主演二人です。
ケイト・ブランシェットが演じるキャロル。旦那や大切な娘がおり、自ら自覚したレズビアンである彼女は、一見優雅で自己を持った完璧な女性です。しかし、彼女の精神的な弱さは徐々に明らかになってきます。
ルーニ・マーラが演じるテレーズは、受け身で優柔不断な女性です。高級玩具店での職や求婚されている彼氏はいるものの、なんとなく流されて得た今の恋愛や人生に全くピンと来ていません。

自分で物事を主導したい男性的な側面を持つキャロルは、男性的な欠点をより強く抱く旦那とは全く上手くいっていません。
そんな主導権を握る事で安らぎを得られるキャロルにとって、テレーズとの出会いは正に「天使が空から落ちてきた」みたいなんでしょう。
逆もしかり、テレーズにとってキャロルは、自分にない要素を全て持ち、自らを先導してくれる光に見えたのでしょう。
そんなキャロルとテレーズが惹かれ合うのは、必然以外の何物でもないのです。

上記からもわかるように、決してこの映画はレズビアンだから出来る話ではありません。
前に出がちなLGBT要素はもっと普遍的なテーマを映し出す為の、あくまで手段でしかないように感じました。
キャロルの行動も、テレーズの行動も問題だらけです。
旦那がいるのに...彼氏がいるのに...逆ギレ!?...身から出た錆では!?...結局その行動!?...となるシーンは多く、正直感情移入どころか、胸くそが悪くなるシーンも多々ありました。(もちろんそれ以前に男側の男性的な支配欲がアレなんですが)
しかしそんな胸糞悪くなる部分も含め、間違ってる(LGBTがという意味ではない)...けど!なんだけど!!出会ってしまうと...といった要素が心をぐちゃぐちゃかき乱します。
人と人の惹かれ合う話。反復しますが、これは男女間でも成立します。しかし、女同士の関係性で描くことで、より人間同士の出会いが強調されています。
男女間にすると、どうしても色情事にしか見えなくて、もっとテーマが薄れるのでしょう...

また、50年代という現代よりももっともっと同性愛への偏見が大きい時代を描いているにも関わらず、そんな偏見が彼女たちの壁になっていく部分は殆ど強調されません。
この辺りも現代のマイノリティーに対する考え方と同期しており、非常に品が良いと感じました。
マイノリティー自体は(それに対する差別はという意味ではない)特別な事じゃないんだから、無理矢理前に押し出す必要は決してないのです。ただ、そこに自然な差別や偏見が佇んでいる事が伝われば。
今作はどちらかと言うと、キャロルの母としての葛藤、テレーズの自身への戸惑いの要素の方がはてしなく強いです。

もう一つ、この映画はテレーズがキャロルという憧れの対象、もっと言えばメンターとして見出していく事で、人として脱皮し成長していく、そんなお話でもあります。
「やりたい事をやらなければ人生ではない」
最初は料理すら選べなかった、彼氏がいるのに男の家にふらふら上がりこんだりしていた、意志のない彼女が、最後には夢に向かって歩いています。

また、カメラワークを含めた演出の巧みさが秀逸過ぎます。
実際に見ていただくと感じると思いますが、窓ガラスや、タバコ等の周囲の写し方や画面の表情によって、もっといえばそれらの違う角度バージョンの繰り返しによって、登場人物の感情を映し出します。
中でも冒頭とラストで二度繰り返されるボディタッチのシーン。それぞれのシーンのカメラ位置の変化や人物のリアクション。
1度目は何も感じなかったシーンでしたが、二度目ではとんでもない深みのあるシーンへと変貌しています。
もちろん主演女優達の演技も必見です。特にルーニマーラのちk...「マーラ」は...映画史上に残るピンk...美しさです。

色々と絶賛していますが、この映画が好きかどうかと問われれば、私は決して好きとは答えません。
一番の理由は先述の「胸くそが悪くなる」行動の為です。
優れた映画とは感じるものの、良い心地がしなかった点が、私の中では普遍的な美しさへの心地よさを大きく上回りました。
平坦な内容という点も含めて、人を選ぶ映画である事は間違いないと思います。

ただ、色々と感じさせてくれるという点が、この映画の素晴らしさを物語っている事は間違いないので、
是非劇場で浸って下さい!


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  1. 2016/02/21(日) 20:56:51|
  2. 2015年公開映画
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