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劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

80『スポットライト 世紀のスクープ』靄がかかる

納得も納得。

アカデミー賞作品賞受賞作!!
『スポットライト 世紀のスクープ』



~あらすじ~
2002年、ウォルター(マイケル・キートン)やマイク(マーク・ラファロ)たちのチームは、「The Boston Globe」で連載コーナーを担当していた。ある日、彼らはこれまでうやむやにされてきた、神父による児童への性的虐待の真相について調査を開始する。カトリック教徒が多いボストンでは彼らの行為はタブーだったが……。
(シネマトゥデイ引用)



☆☆☆☆☆☆☆☆(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
本命なき今年度のアカデミー賞を制した映画。
実在の新聞「The Boston Globe」の記者達が、児童への性的虐待事件を暴露した実話を基に描かれた社会派ドラマです。
見かけ上、如何にもアカデミー会員好みな作品を監督したのは、俳優、脚本家、監督として活躍するトーマス・マッカーシー。
監督としてはそこまで有名ではなく、直近では『靴職人と魔法のミシン』など。

全国紙の特集欄「スポットライト」を担当するボストンの5人のチーム。
マイケル(マーク・ラファエロ)、サーシャ(レイチェル・アダムス)、ベン(ジョン・スラッテリー)、ジョン(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)。
そしてチームを率いる、ロビー(マイケル・キートン)。
新局長に就任した、ボストン育ちではないバロン(リーブ・シュレイバー)。
彼はゲーガン神父の子供への性的虐待事件が大して新聞に扱われていない事に疑問を持ち、チームに調査し記事にするよう持ちかけます。
5人のチームが調査を進めるていくにつれ、掛かっている靄の大きさが明らかになっていきます...

この映画は、教会側の視点や、起こったことは一切見せません。
対峙する鮮明な敵がいる訳ではありません。
全体像がわかりにくいまま進行する為、ぼやけた印象を持つかもしれません。
しかし、其れこそがこの映画のアイデンティティー。
システムと対峙し、靄が掛かってわかりにくいのは新聞記者と同じ立場。
「記者という仕事は闇の中をさぐり歩くようなものだ。」
全体の見えなさ、雲を掴む感じが、私たちにもシステムの不気味さを突きつけてきます。


そして、更にこの映画は一歩踏み込みます。
地元の平和を乱さないようにする風潮や、弁護士の役割や法律の意義を守るよう振舞う正しい信念なんかもそんなシステムに含まれます。
だからこそ...システムが人々を混乱させ、盲目にする。。。
靄を振り払った結果、ある記者が気付いてしまった事実のように、自分の間違いを見て見ぬ振りして、システムの一部にしてしまっていないだろうか?
エンドクレジットで突きつけてくる事実も、こんな出来事が目の前に転がっている事を示しています。

こんな分かりにくさだけの映画なのかといえば、そんな事はありません。
確かに、「世紀のスクープ」なんて派手な邦題が付いている一方で、実際はドラマティックな見せ場は少なく、非常に淡々と描かれる作品です。
しかし、特記すべきは無駄を徹底的に省いたテンポの良さ。
このテンポの良さと、皮肉に溢れる会話の面白さ、そしてジャーナリズムと言うべき信念の格好良さによって、ぐいぐい作品に引き込まれていきます。

ジャーナリストとしての自分達の存在意義。
自分達が守るべき人々。
少なくない人を傷つけたとしても、貫かなければいけない信念を貫く彼等5人の姿は本当にカッコよかったです。
(特に局長バロンの、多くを語らないけど、奥に信念を秘めてる佇まいは最高最高。)
信念に基づいて問題提起する。
これは、何も映画内のジャーナリストだけがもつ特権ではありません。
映画も同じ。
韓国映画『トガニ 幼き瞳の告発』は、社会のシステムすら変えてしまいました。
そんな力が映画にもある。
知らなかった事実を、知るきっかけとなる。
世の中に伝える役割をしっかりと担ってるだけで、本当に意義深い映画だと思います。
システムの分からなさの怖さや、事実の一端を叩きつけてくる展開しかり、タッチは違えど奇しくもアカデミー賞を争った『マネーショート 華麗なる逆転』と大部分で重なりました。

また、宗教を扱っている映画ですが、必ずしも宗教自体を否定している訳ではありません。
これは、ある人物が代弁しています。
宗教は悪くない。。。間違いがあるのは人間と、人間の作ったシステム。
宗教のバックグラウンドを一切持たない日本人の自分には完璧には理解できないかもしれませんが、それでもそれらがもたらす悪意は本当に本当に胸糞がわるいです。
「まず第一の前提として信じている物が、自分を攻撃する」
告発しても誰も(親すら)味方になってくれない。そもそも告発なんでしたくない。
神に裏切られながらも信じるしかない被害者。
そんな信仰心を利用した(語弊を恐れずに言うと...)良くできたシステムです。
精神が崩壊し、自殺者も多くいます。
それゆえ、生存者は「サバイバー」なんて言い方も...
信仰心のない自分にとっては、親からの虐待なんかを想像すると近いものを感じました。
生き方が分からなくなるだろう事は想像に難くない...
それでもいつかまた教会に。
ラストに訪れるあるお婆さんの描写は、胸が張り裂けそうになりました。


唯一の難点と言えば、テンポの良い展開の中で人物名だけが会話で飛び交う為、付いていくのが大変な点です。
人物名だけ、事前に予習していた方が良いかもしれません。

派手な展開はないものの、ぐいぐい引き込まれ、見る意義が詰め込まれた作品。
今年度のアカデミー賞受賞作を、今年度見なくていつ見るの!?オススメです!





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  1. 2016/04/27(水) 20:46:13|
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