シネマ・ジャンプストリート 映画のブログ

劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

95『新感染 ファイナル・エクスプレス』今年度ベストな大傑作

何処を取れども超満点な韓国製ゾンビ映画!

『新感染 ファイナル・エクスプレス』



~あらすじ~
別居中の妻がいるプサンへ、幼い娘スアンを送り届けることになったファンドマネージャーのソグ(コン・ユ)。夜明け前のソウル駅からプサン行きの特急列車KTX101号に乗り込むが、発車直前に感染者を狂暴化させるウイルスに侵された女性も乗ってくる。そして乗務員が彼女にかみつかれ、瞬く間に車内はパニック状態に。異変に気づいたソグは、サンファ(マ・ドンソク)とその妻ソンギョン(チョン・ユミ)らと共に車両の後方へ避難する。やがて彼らは、車内のテレビで韓国政府が国家非常事態宣言を発令したことを知り……。
(シネマトゥデイ引用)







☆☆☆☆☆☆☆☆☆(95/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)

またまた年間ベスト級!

まさかまさかの韓国初のゾンビ映画。

人を選ぶジャンル映画に、莫大な資金と、並外れた熱量を注ぎ込み、実際に大ヒットを記録。
観客を軽視せずに、膨大な手間と時間、的確なビジョンを持った映画が売れ、それがまた好循環をもたらす...
数年おきに超傑作が飛び出す韓国のエンターテイメント映画、本当羨ましいです。
しかも、ゾンビ映画というジャンルを創りしジョージ・アンドリュー・ロメロが永眠した年に、こんなにも正当でフレッシュなゾンビ映画が出てくるとは...

監督は、韓国アニメーション業界で活躍してきた若き才能、ヨン・サンホ。
今作が長編実写映画のデビューになります。
主演を務めるのは、『トガニ 幼き目の告発』や『サスペクト 哀しき容疑者』のユン・ユ。
『殺されたミンジュ』マ・ドンソクや、同じく『トガニ』のチョン・ユミ、人気子役のキム・スーアン等が共演、ドラマを奏でています。





ゾンビ映画といえば、人間ドラマを度外視したB級映画...?

本当に、誰がそんな事を決めたのか。
いや、私もこの映画を見るまでは、少なからずそう思うところがありました。
ごめんなさい。
もう、そんな感情は一切ありません。
私のように先入観がある人にほど、この韓国発のゾンビ映画を見て欲しい!



今作の舞台は韓国版新幹線である、高速鉄道KTX。
そこに乗り込んだのは、別居中の妻の元へ向かうソグと娘スアン。
彼ら以外にも野球部一同や老姉妹、身籠った夫婦などが、KTXに乗り込むそれぞれの「日常」が描写されます。
そんな何でもない「日常」の中の違和感、特に電車が発つ瞬間にスアンの目に一瞬、ほんと一瞬だけ飛び込んでくる光景が、この後の期待と不安を強烈に煽って来ます。


そして急激に発生する、KTXの動く密室空間の中でのパンデミック。。。
自体を飲み込めぬまま襲われる乗客。
次第に自体を理解し唯一の逃げ場「後方」に逃げる乗客。
前で起こった事を理解できぬまま襲われる乗客、更にそしてそれを見て逃げ惑う乗客。
繰り返されるループですが、逃げる先には限りがある訳で...



そんな素晴らしい幕開けを飾るゾンビの襲撃は、最後まで衰えません。
新幹線のごとく、次から次へと襲ってるゾンビ描写の素晴らしさ。
僅かな希望と圧倒的な絶望の相乗効果で、乗客を、そして観客を徹底的に追い込みます。
笑ってしまう描写と、絶望感を煽る描写のバランスも素晴らしく、楽しいし怖い...なんだよこれ最高かよ!
これまでのゾンビにない強み「走る!」と弱点(内緒!)を活かしたストーリーテリング、ゾンビ映画の自由さを活かした脚本の素晴らしさを痛感します。


そしてこの映画が、近年のゾンビ映画で飛び抜けて凄いのが、楽しすぎるゾンビ映画と、重厚な人間ドラマを両立してしまった事。

ゾンビのパンデミックというのは極めて非現実的な現象ですが、実は同時にこれ程「人間を自由に追い詰められる」手段は他にありません。
実はこれこそが、ゾンビ映画の原型を作った故ロメロ監督の真骨頂。
単に低予算で緊迫感を出せるだけでなく、実社会での暗喩(今作はもろに朝鮮戦争)や皮肉、人間の本質を映し出すのに非常に適したジャンルでもあります。
日本で言うゴジラの立ち位置なのかもしれません。
今作も、人間の醜さが晒され、怖いのはゾンビなのか人間なのか、その境界線が曖昧にぬります。


極限状態で描かれる主要人物のキャラクターも最高です。

そもそもそんな状態になる前から、というのりなる前だからこそ、際立っている主人公ソグのダメ人間っぷりに好感大。
競争社会での勝ち組故のダメさ、特に何がダメなのか全く気付いてない様子が、地味ながら中々イライラします。
微妙な距離感の野球部男女や、「やめて...いや、でかした!!」なおばあちゃん、超が100個つくクソ野郎なおっさん、最も守りたくなる妊婦なども最高なのですが...
やっぱりマ・ドンソク演じる妊婦の夫の巨漢兄ちゃんサンファでしょ!
全人類が彼に惚れるはず。

とにかく、ゾンビ描写の中でキャラクターを立てられていった彼らが、ラストに向けて織り成すドラマに涙が止まりません!!

更に極めつけは、どう終わらせるかと思っていた中でのあのラスト。
人とゾンビを隔てる物を◯◯で表現するとは...
確かに!!という共感と共に、線路のように続くこの先の人生を思い涙がまた...


ゾンビ映画なのに泣いた...
いや、ゾンビ映画だからこそ泣いた!



斬新かつ痛烈な展開で、それらが容赦なく人間を追い込みドラマを作り出す。
大傑作です!!!





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  1. 2017/09/21(木) 00:05:03|
  2. 2017年公開映画
  3. | トラックバック:14
  4. | コメント:4

65『スキップ・トレース』この時代に感謝!

ジャッキー・チェン主演の最新作!

『スキップ・トレース』



~あらすじ~
相棒を殺した犯罪王ヴィクター・ウォンを9年間追い続けるベテラン刑事ベニー・チャン(ジャッキー・チェン)は、犯罪に巻き込まれた亡き相棒の娘サマンサ(ファン・ビンビン)を救うため、事件の鍵を握るアメリカ人詐欺師コナー・ワッツ(ジョニー・ノックスヴィル)を追ってロシアへ向かう。マフィアに捕らえられていたコナーを無事に確保するベニーだったが、なぜか彼と一緒に追われる身となってしまい……。
(シネマトゥデイ引用)






☆☆☆☆☆☆(65/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
引退なんてしないしない。
我らが大スター、ジャッキー・チェン主演最新作!
「アジアのロバート・デ・ニーロになりたい。」
なんて言って本格アクションからの引退宣言をした『ライジング・ドラゴン』から3年。
『ポリス・ストーリー レジェンド』や『ドラゴン・ブレイド』等シリアストーンの無茶は抑えめのアクションを経て迎えた今作。
御歳61歳(撮影同時)にして、サービス精神全開なジャッキーアクション復活でございます。
演技派としての幅を広げつつも、『ラッシュアワー4』と『ベスト・キッド2』等の企画にも意欲的との事。
ありがとう、ジャッキー。
ジャッキー・チェンをリアルタイムで見られる事に、感謝感謝。

今作の監督にはもっか中華圏へ出稼ぎ中、『ダイハード2』や『ディープ・ブルー』『クリフハンガー』のレニー・ハーリン。
細かなプロットの積み重ねより、とにかくやりたい事をやっちゃう潔い良い映画監督です。
そしてジャッキーの相方、アメリカ人詐欺師を演じるのは『ジャッカル』シリーズのジョニー・ノックスヴィル。
ばりばりコメディ畑出身の俳優さんですね。
今作はジャッキー演じる拗らせ刑事と、ジョニー演じる調子の良い詐欺師の、バディロードムービーになっています!




ジャッキーのバディムービーといえば、『ラッシュアワー』シリーズや、『シャンハイ・ヌーン』、一人二役の『ダブル・ミッション』や『ツイン・ドラゴン』なんかがありますが、今作はそこに『WHO AM I』的なロードムービーを足し合わせ、
非常にライトなザ・娯楽作品、これぞジャッキー作品な仕上がりになっています。

まず冒頭のコミック感満載のキャラクター紹介。
ジャッキー映画としては今まで見ないアメリカナイズな演出から始まります。
ぶっちゃけここだけを見ると今更感が満載で、ダサいっちゃダサいのですが、そこにジャッキー・チェンがいると安心するこの感じ。
そして、その後の川辺てのアクションが、往年のジャッキー映画そのもので、心底ありがとう!
アメリカナイズされたジャッキー映画っていうのが心を揺さぶってくる訳です。

中国、ロシア、モンゴル...
そんな世界各国でアクションを展開していくジャッキー。
場所場所の特徴を用いたカンフーアクションが既視感はあるものの、作品の閉じられた時間の中ではどれも新鮮で、ジャッキーに求めてる物でもある。
やっぱりレニー・ハーリン監督は、ジャッキーでもチェンが大好きなんだなと感じました。

そんなジャッキーと対照的なキャラクターでありながら、次第に相棒になっていくのが、お調子者詐欺師のコナー。
彼のキャラクター紹介の一連の流れは、しっかりカッコよく、そしてしっかり間抜けでもあり最高でした。
またバディ物というだけでなく、二人の関係性の置き方自体も『ラッシュ・アワー』のそれで、監督が猛烈に意識している事も伝わってきます。


上述の通り、往年のジャッキーアクション、そこに組み込まれる一見アンバランスなアメリカナイズされた作り含め、ジャッキー映画だなーという楽しさは終始続きます。
しかし、それ以上でもそれ以下でもないというのが、この映画の欠点なのかもしれません。
面白味のない物語、ツッコミ所満載の展開、ちぐはぐな演出により、感情が盛り上がりきらず、そこまで乗り切れませんでした。


それでも、2017年にまだリアルタイムでジャッキー映画を見られる幸せに勝るものなし。
ジャッキーありがとう!!!


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  1. 2017/09/17(日) 17:10:27|
  2. 2017年公開映画
  3. | トラックバック:9
  4. | コメント:0

80『ワンダーウーマン』これがやりたかったのね!

女神の降臨!DCの逆襲!

DCエクステンデッド・ユニバース3作目
『ワンダーウーマン』



~あらすじ~
人間社会から孤立した女性のみの一族のプリンセスとして生まれたワンダーウーマン(ガル・ガドット)は、自分が育ってきた世界以外の環境を知らず、さらに男性を見たこともなかった。ある日、彼女は浜辺に不時着したパイロットと遭遇。彼を救出したことをきっかけに、ワンダーウーマンは身分を隠して人間社会で生活していくことにする。(シネマトゥデイ引用)







☆☆☆☆☆☆☆☆(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
アメコミ界の両巨頭。
マーベルコミックスと、DCコミックス。
コミック、映像化と凌ぎを削っていた両者ですが、近年はマーベルコミックスの連続シリーズ化、ユニバース化による大成功で、アメコミ映画=マーベルと言っても良い程マーベルが圧倒。
しかしそれ以前のアメコミ映画の筆頭はDCコミックスであったはず...

そんな状況の2013年にマーベルに遅れながら、DC側もユニバース化をスタートさせますが、旨味が皆無なスーパーマンの誕生譚『マン・オブ・スティール』、お話が崩壊していた『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』、溢れている旨味成分を全て台無しにした『スーサイド・スクワット』と、興行的にも批評的にも惨敗でした。
(個人的に最もがっかりしたのは『スーサイド・スクワット』ですが...)
特に本筋の一.二作目に関して触れると、重み表現等良い所があるにはあるのですが、ヒーロー物としてはあまりに辛気臭すぎる上、そのストーリー自体も崩壊していた為、「もうDC作品は見なくてよいかな...」なんて思いにすらなっていました。

そんな中でも辛うじて興味を持続させてくれたのが、今作の主人公、ガル・ガドット演じるワンダーウーマンの存在です。
『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』終盤での彼女の登場シーンは、作品中の鬱憤を全て弾き飛ばしてくれる程、活力に満ちた素晴らしくカッコ良いシーンになっていました。
そして発表された今作の監督が、
シャーリーズ・セロンが戦いすぎる女性(殺人鬼)を演じた『モンスター』のパティ・ジェイキンス。
ヒーロー映画としては初の女性監督であり、自身としても満を持して14年ぶりの監督作品になります。
本国公開から飛び込んでくる絶賛の嵐、興行的にも女性監督歴代NO1のヒットとあって、ついに来たかDC!とめちゃくちゃ楽しみにしていました!



これが見たかったんだよ、DCヒーローさん!



「神話」的な描き方が特徴なDCユニバース。
シリアスでダーク、括弧つきでリアルな世界観は、今作の冒頭でも健在であり、それどころか直接的に「神話」に対するアプローチから始まります。

神が作りしアマゾン族伝説の島セミッシラ。
少女時代のワンダーウーマンが、女性しかいないこの閉鎖された環境の中で、いかにして成長していくか、更にいかにして戦士を志したかを非常に丁寧に描いていきます。
女性監督パティ・ジェイキンスだからこそ実現出来た「女性だけの神の島」の独特な雰囲気は、どの映画でも見たことのない印象を与えてくれます。
またこの丁寧な誕生譚から始まるアプローチは、直近のマーベル作品と比較すると正反対で非常に面白さがあります。


確かに丁寧であるが、やはりDCにはこの「神話」的な描き方は避けられないのね...
そう感じていたのは、クリス・パイン演じる不時着したパイロットのスティーブ・トレバーとの出会いまで!
自らは神によって作られ、戦争を創りし軍神アレスを打倒するワンダーウーマン。
人間の弱さと間違いによって起こった戦争を、人間の責任として終わらせんとするトレバー達。

「神話」と「現実」が引き合わせられる事で、それぞれが相対化し、ユーモア、そして皮肉として機能、これが作品の抜けを良くしていき、抜群に楽しい!
誕生譚の丁寧さが、この楽しさを強調しているのは間違いし、独特の空気は崩さないようにオフビートなギャグを投入するバランス感覚も流石です。


そしてこの対比が、テーマとしてラストまで効いてきます。
「現実」の人間の戦いに対する受け取り方の変化、歩み寄り。
それらがワンダーウーマンの内的な成長となり、彼女の戦士としての外的な成長、つまり能力の解放に繋がるのだから、めちゃくちゃ上がります。

それだけでなく、「神話」として存在する戦いも、「現実」として存在する戦いもどちらも本物で、それぞれがそれぞれの戦いでけりをつける。
どちら目線で見ても正しいラスト
に、これまでのDCユニバースを全て見直す勢いで感動しました。


もちろん、そんなストーリーの構造を置いておいても、アクション、つまりは彼女の戦闘スタイルが抜群にカッコ良い!
ようやく昼間の戦いを見せてくれただけでなく、初めてのコスチューム披露から、「耐えて、耐えて、耐えて、攻撃する」そんな彼女のスタイルが凝縮された戦い方で、男共の先陣を切って突入する戦場シーンが、とにかく上がる!
そこでかかるテーマソングも上がる!
ヒーロー映画史上屈指の名シーンと言って間違いなし。
上記スタイルが、女性が権利を勝ち取ってきた戦いと重なるのもまた良いですよね。


これまでのDCユニバースの中では駄目すぎて突っ込み気にすらならなかった所が、今作は文句をつけたくない映画の中だからこそ目立ってしまっている点もいくつかあります。
ストーリーの唐突さ、強引な展開がまだ目立つなと。
特に序盤の母親が受け入れるシーンと、終盤のワンダーウーマンのある変化には、釈然としない所が残りました。


しかし!
それでも間違いなく、旨味だらけの素晴らしい作品!
これからのDCユニバースがますます楽しみに。
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  1. 2017/09/06(水) 15:27:54|
  2. 2017年公開映画
  3. | トラックバック:20
  4. | コメント:2

95『ベイビー・ドライバー』期待の斜め上を行く傑作

カー&ガンアクション×ミュージック=純度の高いラブストーリー

エドガーライト監督最新作!
『ベイビー・ドライバー』



~あらすじ~
幼い時の事故の後遺症によって耳鳴りに悩まされながら、完璧なプレイリストをセットしたiPodで音楽を聴くことで驚異のドライビングテクニックを発揮するベイビー(アンセル・エルゴート)。その腕を買われて犯罪組織の逃がし屋として活躍するが、デボラ(リリー・ジェームズ)という女性と恋に落ちる。それを機に裏社会の仕事から手を引こうと考えるが、ベイビーを手放したくない組織のボス(ケヴィン・スペイシー)は、デボラを脅しの材料にして強盗に協力するように迫る。
(シネマトゥデイ)







☆☆☆☆☆☆☆☆☆(95/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)

なんだよこれ、超絶面白いじゃねぇかよ

名作ゾンビ映画を元にした『ショーン・オブ・ザ・デッド』、数多くの刑事アクション物を活用した『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』等の信頼できる映画監督、エドガー・ライト監督の最新作!

元々、自他共に認める映画オタクであったエドガー・ライト。
そんな彼を有名にしたのは、一足先に超売れっ子となった盟友サイモン・ペッグと組んだ、先述2作に『ワールズ・エンド』を含めた「コルネット3部作」(アイスクリームのコルネットが登場することから)。
監督と脚本を務めたこれらの作品で、名作を独自のテンポで引用し、全く新しいコメディ映画に作り変える、エドガー・ライト節を完全に印象付けました。
とくに『ホット・ファズ』は最高だったな...

そんなエドガー・ライトが遂にハリウッド進出!
実は今作の前に、MCU『アントマン』を手がける予定だったみたいですが、マーベル側と意見が合わず降板。
エドガー・ライト版アントマンはマーベル史上最高の脚本だったという噂が聞こえてくる今となれば、やっぱりエドガー・ライト版も見たかった...
(もちろん引き継いだペイトン・リード版アントマンも最高でしたが!)
そんな大作降板の直後に、制作が発表されたのが今回の『ベイビー・ドライバー』。
主演には、『きっと、星のせいじゃない。』で脆くもキュートな難病を抱える少年を演じた、アンセル・エルゴートが抜擢されました。



この映画の何がそんなにクレイジーなのか...


ベイビーフェイスなイケメン、アンセル・エルゴートが演じる通称BABY。
彼は、子供時代に両親を亡くす事故に襲われます。
その事故の後遺症により、彼は耳鳴りが止まなくなってしまうのですが、唯一「音楽」だけがその耳鳴りから解放してくれるのです。
事故がきっかけで狂い始めた彼の人生は散々で、今は借金を返す為に強盗等の犯罪者専用ドライバー「逃がし屋」を請け負っています。
『ザ・ドライバー』や、『ドライヴ』など名作映画で登場する職業ですが、今作の「逃がし屋」は一味違います。
先述した「音楽」が、天才的なドライブテクニックを発揮するスイッチとなります。


今作ではそれらベイビーが耳にする音楽が、劇中歌として全編BGMとなっています。
ここまでであれば、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『オデッセイ』を筆頭とする近年の流行りの延長線上なんですが...
今作がその一連のムーブメントからずば抜けているのは、作中全てのカーアクションにガンアクション、些細な行動までもがベイビーの聴く音楽と一体化している点。
全ての行動がベイビーの聴く音楽のビートを刻んでるかのように流れていくのです。
小手先の技でなく、アイデア段階から落とし込む的確なビジョン、それを実現する為の細部まで徹底された演出、キレッキレに全体コーディネートされてるからこそ、驚くほどフレッシュな映画になっています!

驚くべき事にエドガー・ライト監督、今作のアイデアは21歳であった1994年の段階から持っていたようで、Mint Royaleの“Blue Song”のミュージックビデオで見る事ができます。
また、『ショーン・オブ・ザ・デッド』の一部にも使われていますね。
そもそも、映画全体を通してリズムを刻むようなテンポアップ描写というのは、以前からエドガー・ライト監督らしさを感じる要素でもあったなと改めて思い出しました。



そんな素晴らしき音楽とアクションの融合。
この映画を大好きになった理由は、そこだけではありません。

まず一つが、キレッキレにコーディネートされた描写を手段に語られる、非常に純度の高い愛の物語そのものです。
両親の死以来、現実感のないベイビーが生きる世界。
ベイビーにとってそんな無色な現実からの「逃避」に必要なのが、「音楽」による現実への色付け。
つまり、「音楽」は耳鳴り対策や天才ドライバーとしてのスイッチだけでなく、どうしようもないこの世界での「逃避」手段として機能しており、
この映画が見せる音楽でコーディネートされた世界は、ベイビー目線での逃避世界なのです。
そんな音楽を込めないと直視できない現実の中、デボラとの出会いが無色な世界に、初めて色を付けてくれます。
運命的な出会いと同時に始まる、避けられない逃避行への道。
特に前代未聞にロマンチックに仕上げたコインランドリーでのデートシーンは最高でした。


「逃避」という観点に着目してすると、見えてくる関係性もあります。
男性ホルモン全開ジョン・ハム演じるバディは、最愛の恋人ダーリンと登場から一貫してイチャつきっぱなしです。
しかし、彼は唯一ベイビーの音楽に対して共感する犯罪者であり、唯一ベイビーが笑顔を見せる相手です。
それだけでなく途中人間的な弱さも垣間見せ、その弱さが実はベイビーと同期しているという事が暗示させます。
だからこそバディを襲う悲劇、そして彼のとるある狂気の纏った行動に対して共感しっぱなしで...何なら途中泣いてしまいました。
もちろんジェイミー・フォックス演じる'狂人'バッツや、ケヴィン・スペイシー演じる'いるだけで悪人'ドク等、それ以外のキャラクターも最高でした。

そして極めつけはラストに対する衝撃。
この手の映画の終わらせ方からは想像出来ないケジメの付け方、正しすぎる作品の終わらせ方に鳥肌が止まらず...
何だよエドガー・ライト!面白いだけでなく、正しいって、どれ程完璧なんだよ!


他にもマイケル・マンを彷彿とさせる超重厚ガンアクションや、途轍もなく幅の広い音楽のチョイスなど、もっともっと褒めたい!


映画のネタ切れ?黙らんしゃい。
オリジナル作品でも、ここまで面白い作品が出来るんだぞ!と叫びたくなる大傑作。
超オススメです!




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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2017/09/04(月) 23:00:20|
  2. 2017年公開映画
  3. | トラックバック:16
  4. | コメント:2

80『スパイダーマン ホームカミング』親愛なる隣人へ

待ってました待ってました。
MCU版スパイダーマン始動!

『スパイダーマン ホームカミング』




~あらすじ~
15歳の高校生ピーター・パーカー(トム・ホランド)は、まるで部活動のようなテンションでスパイダーマンとして活動していた。まだ若い彼の才能に気付いたアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、ピーターを真のヒーローとして育てようとする。スタークに新しいスーツを新調してもらったピーターは、意気揚々と街へ乗り出し……。
(シネマトゥデイ引用)





☆☆☆☆☆☆☆☆(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
ソニーエンターテイメントによって、1994年から始まったサムライミ/無印版の三部作、2006年からのマークウェブ/アメイジング版三部作(二部で打ち切り)と、過去二つのシリーズが作られてきたスパイダーマン映画。
近代的なアメコミ映画の先駆けとなり、特に日本ではアメコミ=スパイダーマンというくらいの知名度を得ています。
そんな中、ご存知マーベルコミックスのヒーロー達が超大作映画作品をまたがって世界観を共有するMCU(マーベルシネマユニバース)がスタート、映画のシネマユニバース化のムーブメントを作ります。
マーベル原作の大人気コンテンツ スパイダーマンですから、本来はMCUに入って然るべきところ、大人の事情でここまで組み込まれず...
ソニー製アメイジングシリーズが転けた事で(私はセンチな2作目が大好きですが!)、独自路線を撤回、ここにきてのMCUに本格参戦となった訳です!!


アクション映画という枠組みにとらわれず、作品の本質を見極めた上での監督人選に定評のあるマーベル。
スパイダーマンの監督に選んだのは、なんとなんとボーイ・ミーツ・アダルトな傑作『コップ・カー』のジョン・ワッツ。
主演を演じるのは、撮影当時19歳とスパイダーマン史上最年少で年齢も近い新星トム・ホランド。『白鯨との戦い』で自然の猛威から生き残る若い乗組員を印象的に演じたキュートな少年です。
そして、予告等で明らかになっている通り、アイアンマンことトニースタークが、15歳のピーター・パーカーを導く非常に重要な役で登場します。




MCUの中でしか出来ないスパイダーマンとは?


スパイダーマンらしさ...その一つの大きな要素であるのが、アクション中の軽快な「軽口」と、そこからにじみ出る「若さ」「青さ」。
マーベル作品で唯一青春物でもあるスパイダーマンにとって非常に重要な要素ですが、これまでのシリーズでは、作品の性格上どうしても「軽さ」を強調できませんでした。

そこには過去2シリーズ、特にアメイジング版で顕著だった長ったらしい「ヒーローになるまでのエピソード」との関わりが。
限られた時間の中でこの少し重たいエピソードが組み込まれる事により、スパイダーマンに対して観客は冒頭から勝手に「責任」を押し付けざる得ませんでした。
特にアメイジング版の一作目では、その責任を勝手に受け取ってしまったが故、中盤のピーター・パーカーのヘラヘラ軽い行動に軽く苛立ちを感じてしまいました。

しかし今作では、過去シリーズから年月が浅い事、そしてMCUというそもそもの軸が存在する事が、
シリーズのリブートである以上、本来は必要不可欠な導入部の大胆な排除を許しています。
それにより、退屈なエピソードが無くなっただけでなく、冒頭のスパイダーマンから「重さ」「責任」を排除し、「青くて無謀」な要素を微笑ましく凝縮させる事に成功。
トムホランドが纏う若さが後押しし、過去シリーズ最も応援したくなる、成長を見守りたくなるスパイダーマンになっています!!
特に、冒頭の『キャプテン・アメリカ シビルウォー』の舞台裏でのはしゃぎ様は本当微笑ましく、最高でした。


そしてもう一つ、MCUである事を最大限活用する事で、スパイダーマン論に正しく帰着させる事に成功しています。

本作のスパイダーマンのヒーロー活動の動機、それはアベンジャーズへの憧れです。
彼が「アベンジャーズに入れて!?」とアイアンマンことトニースタークに懇願、そして無茶なヒーロー活動へと手を伸ばしていきます。
そんな15歳パーカーに、メンターのスタークおじさんは「地に足つけろ!」と説教する訳です。

そんな中で暗躍するのが、マイケル・キートン演じる今作のヴィラン、ヴァーチャー。
アベンジャーズの宇宙人から地球を防衛する為の戦いの中で、彼はマーベル史上最も人間らしい理由により誕生します。
つまり、アベンジャーズの地に足をつけられない戦いの中で、彼は生まれた訳です。

アベンジャーズの存在への憧れと、一部共感せざるえないヴィランの主張。
この対比を活用し、スパイダーマンがスパイダーマンである所以、つまり『親愛なる友人』という解へ繋がる展開に、もうこれ以上の正解ないでしょと、最高に上がりました。


トムホランド演じるスパイダーマンが良いと書きましたが、マイケルキートンが演じる悪役ヴァーチャーも素晴らしいです。
内なる狂気と良心。
マイケルキートンの目力と、『バットマン』『バードマン』ときたフィルモグラフィーが、これほど現実的で奥行きの感じるヴィランを実現しました。

そんなスパイダーマンとヴァーチャーが対峙する中で最もスリリングでエキサイティングなのが、アクションではなく会話シーン。
ネタバレになるので詳しくは語りませんが、流石『コップ・カー』のジョンワッツ監督!
ホームカミングパーティへと繋がる展開は、マーベル史上最高にぞくぞくする対峙シーンになっています。


唯一、アクションの見づらさだけは指摘しておきたいのですが...

スパイダーマン史上、最高に無邪気で楽しい作品、是非劇場で見てください!
オススメです!


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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2017/08/27(日) 21:26:48|
  2. 2017年公開映画
  3. | トラックバック:13
  4. | コメント:0
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